徳島県庁は、県民サービスの向上や多様な働き方の実現に向けた庁内DXを推進するため、新たなコミュニケーション基盤として「Google Workspace」を採用した。6月15日、システム導入を支援した吉積情報が発表した。生成AI「Gemini」の活用も進めており、現場への急速な定着によってアクティブユーザー率は75%に達している。
徳島県は四国地方の東部に位置し、豊かな自然環境と独自の伝統文化を有する自治体だ。近年はクラウドツールや生成AIを活用した業務改革に積極的に取り組んでいる。長年使用してきたシステム環境からの移行にあたり、現場の職員からは従来のやり方を新しい環境でどのように再現するのかという懸念の声が多く寄せられていた。
これに対し、情報政策課などの導入チームは、従来のやり方をそのまま踏襲するのではなく、新しいツールに合わせて業務の進め方自体を新しく変えていく方針を提示した。実際の導入プロセスでは、職員が「Google Apps Script」やGeminiを活用して自らツールを作り始める動きも見られたが、事務局はそれを否定せず、過渡期におけるプロセスとして柔軟に伴走しながら定着を支援した。
導入支援として、吉積情報は職員の心理的ハードルを下げるために全4回の研修を実施した。研修では、AIが音声で説明する音声解説機能などが好評だった。Google Workspaceの優れたユーザーインターフェースにより、カレンダーやメール、ファイル管理機能のPC版「Googleドライブ」などは職員が違和感なくスムーズに使い始めている。今後は複数人で同時に作業できる共同編集機能などの利用定着を図る。
現在、庁内では業務のあらゆる場面で「まずはGeminiに相談する」というスタイルが定着しつつある。特別なスキルを必要としない手軽さと回答精度の高さが、75%というアクティブユーザー率につながった。従来の議事録作成といった部分的な効率化にとどまらない、組織全体の生産性向上につながっている。
さらに、職員が自発的にツールを活用する機運を高めるため、庁内ポータルサイト上に、自作アプリを登録し閲覧できる「アプリ共有カタログ」というプラットフォームを構築した。ここには、所属ごとにスケジュールとメールアドレスを一覧表示するアプリや、従来のメールデータをインポートするツール、PDFファイルの結合・編集ツール、マニュアル作成支援や契約事務の問い合わせに自動回答する「Gem」など、多種多様なツールが登録され、共有されている。
徳島県庁企画総務部情報政策課副課長の濵誠司氏は、Google Workspaceを従来のオフィス製品とは異なる革新的な設計思想を持つサービスと捉えている。そのため、従来の延長線上で使うのではなく、ツールの特性を理解したうえで業務プロセス自体を見直す必要があると指摘する。ペーパーレス化やオンライン完結、共同編集といった前提に適応し、働き方を主体的に変革してこそ、ツールの価値を最大限に引き出せる。単なる置き換えにとどめず、サービスに合わせて業務を変革することが、DX推進の鍵になるという。