セガは、ゲーム開発を支える社内ITインフラの調達・管理に伴う契約業務の効率化と属人化の解消を目的に、法務向けProfessional AI「LegalOn」を採用した。6月15日、LegalOn Technologiesが情報を公開した。契約管理のシステム化によりチーム全体で共同運用できる基盤を整え、過去の契約情報の可視化によるビジネスリスクの低減や初学者の育成につなげている。
総合エンタテインメント企業であるセガの開発IT支援部第三ITサポートセクションでは、国内外のスタジオなどが手がけるゲーム開発に必要なサーバーやネットワーク、ソフトウェアといったITインフラの調達や、購買に伴う煩雑な事務手続き、契約調整などのバックオフィス業務全般を担っている。同部門では年間約1000件の契約を締結しており、その中にはライセンス契約など詳細な審査や法務部との連携が必要な案件も多く含まれている。
従来、締結後の契約書は社内サーバー上で細かくフォルダ分けして保管されていたが、網羅的な台帳が存在せず、管理業務が20年の経験を持つベテラン社員のノウハウに依存し属人化していた。他業務を兼務するメンバーも多い中で、前任者の膨大なノウハウをそのまま引き継ぐのは容易ではなく、将来的なリスクを回避するためにも、チーム全員で契約書を容易に横断検索・参照でき、共同作業が行える仕組みの構築が急務となっていた。そこで同社は、契約管理はシステムへ任せて人とシステムの役割を分離する方針を立て、LegalOnの導入を決めた。
採用にあたり、契約書やドラフトを一元管理できる機能性に加え、チャットベースで契約書作成や法務リサーチを支援する「LegalOnアシスタント」の有用性を評価し、追加で導入した。
導入後、まず約500件の既存契約書をシステムへ登録し、メーカー名やフォント名による過去契約の横断検索を可能にした。これにより、過去に発売したゲームソフトのリメイク版やリマスター版を開発する際、当時のライセンス契約における許諾範囲や利用制限のエビデンスを迅速に確認できるようになり、不要な再契約の防止やコスト削減という成果をもたらしている。また、未締結段階のドラフトもシステムへアップロードして差分比較機能を活用することで、取引先との交渉による変更点を正確に把握し、調整業務のスピードを向上させている。
さらに、LegalOnアシスタントの活用により、法務部へ審査を申請する前のサマリー作成や、開発部門への情報整理、SaaS系サービス導入時の利用規約の要約などが的確に行えるようになった。リスク指摘だけでなく条文の修正代替案も提示されるため、メンバーが自ら契約書の原案作成に挑戦するようになるなど、契約書に対する心理的ハードルが低下。結果として法務部へ提出する前段階での品質が向上し、法務側の負担軽減にも寄与している。経験の浅いメンバーにとっては、法務部へ確認する前に気軽に質問できる心強いナビゲーターとして機能しており、初学者の挫折を防ぐ学習支援の役割も果たしている。
今後は、新しく加わるメンバーが安心して成長できる環境づくりをさらに進める。ベテラン社員が蓄積してきた知識やノウハウをプロンプトとしてシステム内に残し、チーム全体の共通資産として活用することで、契約業務を扱える人材を組織全体で増やしていく。