全国約100店舗でレンタルバイクを展開するレンタル819(運営はキズキレンタルサービス)は、セールスフォースのAIエージェントプラットフォーム「Agentforce」で、二輪車レンタルの問い合わせに、24時間・多言語で対応している。約6カ月で6383件に対応し、回答率は90%だった。10月16日、セールスフォース・ジャパンが発表した。
キズキグループは、約40年の歴史を持つ二輪車ビジネスの総合企業で、レンタル819、バイク旅専門の旅行会社、オートバイ販売と電動バイクのソリューションを担う会社の3社で構成する。レンタル819は、国内の客に加え、訪日外国人にも多く利用される。予約は24時間オンラインで受け付ける一方、問い合わせへの対応は、営業時間内に限られていた。営業時間外は、メールのみの受け付けで、回答は翌営業日以降になる。回答を待つ間に、客の利用意欲が下がることが課題だった。
課題を段階的に解決する方針のもと、まず顧客基盤の整備から、Salesforceの活用を始めた。「Service Cloud」と「Data 360」で、店舗を横断した顧客対応の基盤を整え、「Marketing Cloud」で、マーケティングの施策も展開してきた。こうして蓄積した顧客データと対話履歴を、そのまま生かせる点を評価して、Agentforceを使うことを決めた。
構想は、2段階で進める。第1段階は、2026年3月から稼働している、多言語対応のFAQの自動応答エージェントだ。第2段階は、2026年11月から本格的に実装する予定の、予約AIエージェントで、AIとの対話と基幹データを組み合わせた、予約の案内を目指す。
導入支援を受けて設計した、130本の対応シナリオで、Agentforceを立ち上げた。運用の開始後は、専任のエンジニアを置かず、担当者2人が、週1回のペースで改善を続ける。約6カ月で手を入れたシナリオは、291本で、その半数以上は新規の追加ではなく、客が実際に使う言い回しと、想定とのずれを埋める「修正」だった。この改善の積み重ねで、約6カ月間に、AIエージェントが対応した問い合わせは6383件、回答率は90%になった。対応した問い合わせの61%は、従来は電話に出られなかった営業時間外の問い合わせだった。人手で対応した場合に換算すると、約960時間分(1カ月で約160時間)にあたる。この換算は、AIが対応を完結した5745件に、電話対応の平均所要時間10分を掛けた数字だ。人員を増やさずに、営業時間外の窓口を、実質的に24時間にした。
2026年11月からは、予約AIエージェントで、FAQの対応に加えて、「探して選ぶ」段階を、会話形式で支える。利用履歴や国別の嗜好に応じた提案や、店舗を横断した最適なプランの予約に取り組む。AIと人の役割分担では、人員を減らすのではなく、人を増やさずに時間外の窓口を開くことを重視する。グループ会社のMOTO TOURS JAPANとの、相互の送客も見据える。
キズキレンタルサービスの大塚洋二社長は、店舗を横断した問い合わせ対応や、多言語での24時間の接客に、課題を感じていたと説明する。Agentforceで、「お客様をお待たせせずに必要な情報をお届けし、予約までスムーズにつなぐ仕組みを構築できると期待している」と話す。