スリーキューブは、ifonervが提供する自動発注AI「α-発注」を採用した。11月19日、ifonervが発表した。勘と経験に依存し属人化していた仕入発注業務を自動最適化し、発注工数と在庫量の削減を実現した。発注時間は月間88時間から32時間へ短縮され、在庫量は約13%削減された。同社は、AI活用により、発注担当者を在庫管理者としてより上流の管理業務に専念できる体制の構築を目指す。
生活雑貨およびインテリア雑貨の卸事業を展開するスリーキューブは、愛媛、高知、香川など複数の倉庫を運営している。従来、各倉庫の発注担当者が独自の判断基準で発注業務を行っていたため、業務の属人化が課題となっていた。担当者ごとの勘と経験に頼った発注点や在庫量の設定により精度が低く、実績データと連動しない発注により過剰在庫が発生していた。また、全倉庫を合計すると発注作業に月間88時間もの工数を要していた。担当者が不在の際や他倉庫への応援が必要な場合にも、適切な発注内容が分からず、円滑な業務遂行が困難になっていた。
こうした課題を解決するため、同社はα-発注の導入を決めた。α-発注は小売、卸売、メーカー、製造、商社向けの自動発注AIで、過剰発注や在庫切れを効率よく削減できる機能を持つ。
当初、AIによる発注に不安もあったが、トライアルを通じ「人よりもデータに忠実」との印象を受け、採用に至った。導入初期には発注の理由に関する疑問もあったが、ifonervの担当者と繰り返し打ち合わせを行い、データや発注条件のチューニングを重ねた。その結果、「AIが出す結果には明確な理由がある」と納得できるようになり、現在ではほとんどの発注をα-発注に任せている。
α-発注の導入により、発注担当者は5名から2名体制に削減された。発注業務が自動化されたことで、基幹システムを何度も確認する「見る・考える」作業が減少、空いた時間を他業務に再配分できている。また、従来の発注担当者が退職した際も、発注未経験の社員がα-発注の活用で、精度を保ったまま運用を継続できた。これにより、経験や勘に依存しない「誰でも発注できる体制」が定着し、業務の属人化解消に成功している。さらに、過剰在庫や無駄な仕入れが減少し、在庫量が約13%削減されたことで、年間仕入れコストの大幅な削減にもつながった。
スリーキューブ商品管理部の大井氏は、「当初は半信半疑の部分もあったが、実際に使ってみて成果を実感できた。導入して本当によかったと感じている」とコメントしている。今後は、発注担当者を「在庫管理者」として位置づけ、在庫精度のさらなる向上や取引先との連携強化に専念できる体制を構築する方針だ。AIや自動化の力を活用することで、安定的かつ効率的な運営体制の構築を進める。