カインズ、AIエージェントで発注管理を自動化 190万行の表計算作業を刷新

2026年4月16日19:01|ニュースCaseHUB.News編集部
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 カインズは、需要予測に基づいた発注・在庫管理業務を自動化するため、Google CloudのAIプラットフォーム「Vertex AI」および「Vertex AI Agent Builder」を採用した。4月14日、Google Cloud Japanが発表した。膨大な表計算ソフトによる手作業を刷新し、実務工程の効率化と内製化の加速を目指す。今回の取り組みにより、数日を要していたデータ抽出作業を短縮し、最適なサプライチェーンの構築を推進する。

 カインズは29都道府県に264店舗を展開するホームセンターチェーンだ。同社にとって需要予測の精度向上は最優先課題だが、予測結果を実務に反映させる「後工程」に大きな負荷がかかっていた。具体的には、商品を在庫管理するための最小単位であるSKUごとの特性に応じた予測結果の精査や在庫管理のためのメンテナンス業務を、190万行に及ぶ膨大なSQLクエリ結果と複雑な表計算ソフトを用いて手作業で行っていた。

 従来の運用では、システムから出力されたデータが1ファイルに収まりきらず、複数のファイルに分割して管理されていた。現場の担当者は、これらのデータに棚割りや在庫状況、売上実績などの情報をVLOOKUP関数などで紐付け、個別のフラグを手作業で立てるなど、煩雑な工程を強いられていた。出力だけで2日を要するケースもあり、専任のエンジニアが数式の変更や列の追加要望に付きっきりで対応していたが、現場のニーズに即座に応えることが困難な状況だった。

 こうした課題を解決するため、同社はAIエージェントを活用したデータ処理基盤を構築した。Vertex AI Agent Builderを導入したことで、ユーザーは自然言語による対話形式でデータの絞り込みが可能になった。従来のようエンジニアがロジックを書き換える手間を省き、現場担当者が「この条件でデータを抽出してほしい」と指示を出すだけで、BigQuery上のデータを直接操作・抽出できる仕組みを確立した。

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AIエージェントのアーキテクチャイメージ

 また、酒類などの発注において不可欠な「車建発注」の最適化も自動化した。これは在庫回転日数を制御しながらトラックの積載量を最大化する計算で、従来は1日かけて算出したデータを取引先に送り、先方で再計算を行う必要があった。新たに数理最適化アルゴリズムを開発してシステムに組み込んだことで、カインズ自身で即座に車建発注量を算出できるようになった。

 導入の効果として、2から3日を要していた発注点メンテナンスの作業時間が削減された。データがBigQueryという単一のソースに統合されたことで、複数のファイルに分散していたことによる数式ミスや列ずれの不安も解消された。さらに、AIエージェントを介して自分たちがやりたいことを即座に実行できる内製化のスピード感が実現した。

 カインズビジネスソリューション部需要予測グループグループマネジャーの矢口未知彦氏は、需要予測を起点に発注管理から在庫管理までをすべて統合された基盤で実行できるようになったことが最大の価値だと述べている。今後は、数理最適化計算の処理を順次AIエージェント上へ移行するほか、シーズン商品や棚割りの最適化など、より複雑な変数が絡む領域への適用も広げていく。

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