三井物産、生成AIと自動化ツール連携で年間1985時間の業務削減へ

2026年3月24日09:00|ニュースCaseHUB.News編集部
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 三井物産は、ロジスティクス戦略部において「Microsoft 365 Copilot」と業務自動化ツール「Power Platform」などを組み合わせた業務改革を実施した。3月23日、導入を支援したアルティウスリンクが発表した。生成AIとローコード開発ツールを連携させることで、貿易実務の高度な自動化を実現し、2026年3月期には年間で累計1985時間の業務工数削減を見込んでいる。あわせて、現場主導で改善を継続できるDX人材の育成も進める。

 三井物産では全社的にMicrosoft 365 Copilot(以下、Copilot)の導入が進んでおり、社員の利用率も高い水準にあった。しかし、従来の活用範囲は情報の検索や文章生成といった単発の作業にとどまっており、一連の業務フロー全体と連動させた本質的な効率化が課題となっていた。また、通常業務と並行してツール開発や学習を進める負荷が大きく、DX推進を担う人材の育成や内製化体制の構築も求められていた。

 こうした背景から同社は、Microsoft製品に精通し、活用方針の設計から定着までを一貫して支援できるアルティウスリンクに協力を依頼した。業務アセスメントの結果、現場のニーズが高い業務の多くはCopilot単体では完結せず、社内システムへのデータ入力や書類の読み取りなど、複数の工程を組み合わせた自動化が必要であると判断。既存の支援サービスを拡大し、Copilotに加えて「Power Platform」やAIモデル構築機能の「AI Builder」を組み合わせた仕組みを構築した。

 具体的な成果として、人手に依存していた貿易関係書類の処理業務の自動化が挙げられる。PDF形式の貿易書類をAI Builderで読み取って内容を構造化し、Power Automateのフローを通じて業務システムへ自動登録する仕組みを整備した。作業工程にはPower Appsで作成した修正・承認用の画面を組み込み、ユーザーが必要に応じて目視でチェックできる制御機能も持たせている。さらに、Power BIを用いて削減時間や利用状況を可視化したことで、導入効果をデータに基づいて把握し、次の施策に活かせる環境を整えた。

 ツールの構築と並行して、将来的な内製化を見据えた伴走型の教育支援も実施した。一般的な講義形式ではなく、実際の業務課題を題材にしたハンズオン形式の個別指導を取り入れた。この取り組みにより、部内のメンバー4名がCopilotやPower Platformを使いこなすDX人材として成長し、現場での利用定着と複数案件の並行開発が可能になった。

 今後は、より改善効果の大きい案件への注力や、プログラミングに近い高度な開発手法である「Vibe Coding」への挑戦も検討している。三井物産ロジスティクス戦略部物流DX室の狩谷将毅氏は、これまでの取り組みを社内でも先進的であると自負しており、生成AIを活用したコーディングなどの新しい試みを先行して実践し、実績を重ねていきたいとしている。自然言語による指示でシステムを動かす次世代の自動化も視野に入れ、さらなる業務変革を推進する。

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