SMBC日興証券は、システム開発プロセスの刷新とリソース調達の迅速化を目的に、ローコードプラットフォーム「OutSystems」を採用した。OutSystemsを提供するOutSystemsジャパンが発表した。開発期間を最大約50%短縮したほか、開発に携わる人員を当初の4倍に拡充。現在、グループ全体で約10000人の社員が、同プラットフォームで構築された各種業務アプリケーションを活用している。
SMBC日興証券は1918年創業の老舗証券会社で、三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)の中核を担う。同グループは2025年までの中期経営計画において、デジタル分野への投資を重要施策と位置づけている。その中でSMBC日興証券のシステム企画部では、生成AIやクラウド、ローコードといった新技術を積極的に取り入れ、デジタル基盤の強化を推進してきた。
同社では従来、外部パートナー企業と連携してシステム開発を進めていた。しかし、新型コロナウイルス流行に伴う環境変化や、DX推進によるデジタル化の加速、ビジネスニーズの拡大により、開発プロセスの長期化やリソース不足といった課題に直面していた。こうした変化に柔軟かつスピーディーに対応するため、内製開発も視野に入れた新たな開発体制の構築が求められていた。
プラットフォームの選定にあたり、システムライフサイクルにおけるガバナンスが維持できることや、基幹システムとの接続性が担保されていることを重視した。また、学習が容易で、成果物の可視化を通じて持続的な開発体制を維持できる点も評価し、OutSystemsの採用に至った。
導入に際しては、銀行と証券の情報を一画面で共有する「銀証連携」のパイロット案件で実現可能性を検証した。プロトタイプを構築してテストを繰り返す手法により、ユーザー部門の要件を柔軟に取り込むことができた。実装面でもAPI接続やデザインの自由度を確認し、スクラッチ開発よりも容易に構築できると判断した。さらに、認定トレーニングを受けたIT未経験の新入社員が開発に貢献できたことで、内製化の有用性も実証された。
現在の運用体制では、システム企画部から事業部門のITチームまで、パートナー企業を含めた開発メンバーを5名から20名に拡大している。社内では、銀行と証券の口座情報を一元化するアプリなど、16件の社内アプリが稼働中だ。Excelマクロなどで属人化していた業務をOutSystemsへ移管したことで、ブラックボックス化の解消やリスク管理の強化にもつなげている。
SMBC日興証券システム担当執行役員の𠮷岡伸輔氏は、事業戦略として進める銀証連携の進化には、異なる文化を持つ組織が共通基盤で開発できるシステム戦略が不可欠だと指摘する。また、内製化できる人材を増やすための重要なツールとしてOutSystemsが役立っていると評価している。
同社は今後、基盤の統制や開発者支援を担うCoE(Center of Excellence)の浸透を図るとともに、AI主導の開発支援機能である「OutSystems Mentor」の活用も検討している。業務とITが一体となり、新たな価値を創出する基盤づくりを加速させる。