ソニー銀行、富士通の支援で勘定系システム開発に生成AI活用 開発期間2割短縮へ
2025年10月9日09:30｜ニュース｜CaseHUB.News編集部
ソニー銀行は、勘定系システムの機能開発に生成AIの活用を開始した。10月6日、システム開発を支援する富士通が発表した。富士通の勘定系ソリューション「Fujitsu Core Banking xBank」を採用した新勘定系システムが対象で、2026年4月までに全機能開発への活用を目指す。将来的には開発期間の20％短縮を見込み、AIドリブンな開発エコシステムの構築を進める考えだ。
ソニー銀行は2025年5月、xBankの導入により勘定系システムをクラウドネイティブ化し、全システムのクラウドシフトを実現している。今回の取り組みは、このクラウドネイティブな環境を最大限に活用し、生成AIを中核に据えた開発エコシステムを構築する第一歩と位置づけられている。
両社はまず、開発・テスト領域で富士通の独自技術である「ナレッジグラフ拡張RAG」を活用し、これを起点に生成AIの活用水準を向上させていく。ナレッジグラフ拡張RAGは、保有する大規模データの関係性をナレッジグラフで関連付けて生成AIへの入力データを高度化するもので、繰り返し知見を蓄積することでAIの精度向上を図る。
将来的には、管理・要件定義・運用保守を含む全てのシステム開発工程に生成AI活用を拡大する計画だ。全てのプロセスをAWS（アマゾン ウェブ サービス）上で完結させることで、高度なスケーラビリティとセキュリティを確保し、開発効率を飛躍的に向上させる。また、xBankのメリットを最大限に生かし、継続的な品質向上と迅速な開発サイクルを実現する開発エコシステムの構築を目指す。
生成AIを活用した取り組みの全体像（出典：富士通）
ソニー銀行は、新勘定系システムのクラウドネイティブな特長を生かし、さまざまな外部サービスとの連携や新技術の導入を通じて、開発の効率化と品質向上、迅速な新商品・サービスの提供に取り組んでいく方針。両社は今回の取り組みを通じて、日本の金融業界におけるAI活用の先進モデル確立を目指すとしている。ソニー銀行執行役員の福嶋達也氏は、「今回の取り組みで開発の効率化と品質向上を両立し、より柔軟で迅速なサービス提供が可能になると確信している」と話している。