啓愛社は、調達業務の効率化と受注率の向上を目的に、Leaner Technologiesが提供するソーシングプラットフォーム「Leaner見積」を採用した。1月29日、Leaner Technologiesが発表した。見積業務をクラウド上で一元化することで情報の属人化を解消し、顧客への回答スピードを向上させた。今後は蓄積されたデータを活用し、より戦略的な調達体制の構築を目指す。
啓愛社は1934年創業の自動車関連総合企業だ。自動車部品の製造・販売と、資源リサイクルのビジネスを展開している。中核の自動車部品事業部では、鋼板のプレス加工から塗装までを一貫生産し、自動車メーカーへ納入している。
同事業部の調達業務では、従来、サプライヤーとの交渉経緯が担当者のメールや記憶に依存する「情報の分断」と「業務の属人化」が課題となっていた。また、3Dデータなどの大容量ファイルのやり取りに外部サービスを併用していたため、作業が煩雑化していた。こうした非効率なプロセスは、顧客への回答遅延による失注リスクを招いており、経営上の重要課題として是正が求められていた。
加えて、労働人口の減少や働き方改革を見据え、個人のスキルに頼らない「組織的な仕組み」の構築も急務だった。そこで同社は、調達業務のデジタル化を推進するため、Leaner見積の採用を決めた。選定にあたっては、クラウド上に履歴が蓄積され、使えば使うほど情報が資産になる点や、フィードバックに対するベンダー側の迅速な改善対応を高く評価した。
システムの活用により、見積依頼からサプライヤー選定に至る一連の業務がクラウド上で一元化された。これにより、担当者の不在時でもチーム内でのフォローが可能になり、業務の透明性が大幅に向上した。残業時間を増やすことなく、業務の継続と効率化を両立させている。
特筆すべきは、事務作業の削減によって見積もりのリードタイムが短縮されたことだ。回答スピードの向上が直接的に受注率の向上に寄与しており、調達部門による売上貢献という「攻めの経営」が具現化しつつある。同社は、これを単なる工数削減ではなく、機会損失を防ぐための戦略的な一歩と位置づけている。
今後は、蓄積されたデータを分析し、サプライヤーの強みを活かした調達戦略の構築や、見積業務の自動化を進める。啓愛社自動車部品事業部業務部兼技術部副事業部長の平河内毅成氏は、「短期的には生産性を最大限に高めることが急務だ。中期的にはデータを最大限に活用し、適切な価格設定や調達・営業戦略に繋げていくことに大きな意味がある」と話す。また、調達部門が元気でなければ企業全体の循環も元気にならないとし、今回の取り組みを事業発展に向けた戦略的な第一歩にする考えだ。
同部業務部次長の小原武氏は、「見積もりを取ることに力を使うのではなく、見積書を読み解くことに力を使いたい。見積取得をできる限り自動化し、戦略を立てる仕事に専念できる環境を目指す」と語る。将来的なAI活用も視野に入れ、誰もが同じ水準で業務を遂行でき、次世代の育成にもつながる調達組織の実現を目指す。