トヨタファイナンス、AIエージェントで顧客対応を3倍速化 判断業務のロジック化に成功

2026年5月13日09:00|ニュースCaseHUB.News編集部
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 トヨタファイナンスは、メールによる問い合わせ業務の効率化を目的に、AIエージェント構築ツール「Agent Builder in UiPath Studio」を採用した。5月12日、UiPathが発表した。多品種少量かつ定性的な判断を要する業務にAIエージェントを導入したことで、従来比で3倍以上の業務効率化を実現した。今後は経費精算業務などへの適用範囲拡大も進める。

 トヨタファイナンスは自動車ローンやクレジットカード事業を基盤に、スマホ決済や旅行、EC事業など、自動車を起点としたモビリティ金融サービスを展開している。同社ではこれまで作業量の多い定型業務の自動化を推進してきたが、従来の自動化手法では投資対効果が見込めず、人間の判断を介する複雑な業務の自動化に課題を抱えていた。また、顧客接点強化への投資シフトに伴い、バックオフィス業務のシステム投資が制約されるなかで、既存資産を活用しながらオペレーションコストを低減する仕組みを模索していた。

 AIエージェントの導入にあたっては、市民開発の実現性、自動化機能の充実度、サポート体制を重視して選定を進めた。当初は生成AI単体によるメール返信の自動化を検討したが、回答のばらつきや制御の難しさから、現場が求める精度に達しないという壁に突き当たった。そこで、曖昧な判断をAIに任せるのではなく、既存システムを操作できるロボットとAIエージェントを組み合わせ、業務自体をロジック化できるUiPath Platformの採用を決めた。週次の定例会やスピーディーなデモ作成といった、同社の密な支援体制も選定の決め手となった。

 2026年1月より、顧客からの問い合わせメール対応業務の本番環境において、Agent Builderで作成したAIエージェントの稼働を開始した。現在は、ロボットが顧客情報システムなどの既存システムから必要な情報を収集し、AIエージェントがその情報に基づいて回答案を作成。最終的に人間が確認を行う体制を構築している。生成AI単独では困難だった回答精度の目標を、ロボットとの組み合わせによるロジック化で93%まで高めた。

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Web問い合わせ対応業務フローのイメージ

 導入の効果として、1件あたりの作業時間は従来の平均13分から平均4分へと短縮された。月に数千件発生する業務において3倍以上の効率化を達成したことで、社内では今後の展開に向けた前向きな評価が得られている。また、今回の取り組みを通じて、これまで人間の経験や知恵に頼り自動化が困難だと思われていた業務の多くが、ビジネスロジックとして整理可能であることが確認された。

 今後はバックオフィス全体でのエージェンティックオートメーションの導入を加速させる。経費精算業務では、インテリジェントなデータ抽出と処理を行う「UiPath IXP」を活用し、請求書の自動読み取りから後続処理までを自動化する検証を進めている。将来的には、情報システム部門による主導だけでなく、現場の業務部門が自ら自動化を担う市民開発体制を構築し、2000人の従業員がより付加価値の高い業務へリソースをシフトできる環境を目指す。

 トヨタファイナンスデジタル業務推進部部長の平野賢一氏は、スピード感をもってAIエージェントを実装し、早期に効果を創出できたことを評価している。今後もUiPathと密に連携しながら、より幅広い領域へ展開し、オペレーションコストの抜本的な低減を図りたいとしている。

ニュースリリース