サントリーホールディングスは、顧客の声を分析する業務の高度化を目的に、データ戦略AIエージェント「AI Central Voice」を採用した。1月27日、同サービスを提供するテックタッチが発表した。文脈を読み解くAIの活用により、従来のキーワード検索では捉えきれなかった顧客の意図を可視化し、戦略立案に必要な示唆を迅速に得られる体制を構築する。
サントリーは「お客様の声」を経営の基盤と位置づけ、蓄積した情報を商品開発や品質改善、リスク管理に活用してきた。現在、同社のお客様センターには年間約7万5000件もの声が寄せられ、基幹システムに集約されている。
しかし、従来の分析はキーワードベースの分類が中心であり、文脈が異なる場合の判別や、背景にある意図の把握、深い示唆の抽出といった高度な分析には課題があった。たとえば「糖質」というキーワードで抽出しても、成分への問い合わせと製品名称に含まれる語句が混在し、分析担当者が目視で振り分ける必要があったため、多大な負荷がかかっていた。こうした背景から、AI技術を活用して顧客の真の意図を理解し、戦略的な示唆として活用するためにAI Central Voiceの導入を決めた。
AI Central Voiceの選定にあたり、文章全体の文脈を読み解く高精度な分類機能に加え、サントリーが長年蓄積してきた独自の分類基準に合わせて個別にチューニングできる柔軟性を評価した。また、自然言語での問いかけに対し、定量データと具体的な顧客の声を組み合わせて即座に回答を提示する「Ask AI」機能も、意思決定の迅速化に寄与すると判断した。
導入により、これまで担当者が目視で行っていた分類作業の多くが自動化され、分析の精度と速度が向上した。たとえば、特定の成分に関する問い合わせでも、懸念事項や影響範囲など、顧客の真の関心事に応じた自動分類が可能になった。これにより、ブランド別や部門別の多軸分析、前年比較などの高度な可視化が容易になっている。また、熟練の分析担当者に依存していた業務をAIとダッシュボードで標準化することで、組織全体の分析力の底上げも実現した。
今後は、AI Central Voiceを活用して週次レポート生成を自動化するほか、潜在的なリスク兆候を早期に検知するシステムの構築など、AI活用のさらなる拡大を見据えている。商品開発や品質改善における意思決定の精度をさらに高めていく。
サントリーホールディングスお客様志向経営推進部の大蝶氏は、「お客様センターには問題の経緯や背景を含んだ詳細な声が寄せられるため、文脈での理解が重要だ。AI Central Voiceは、従来は人の目でしか読み解けなかった文脈に基づいた分類や示唆の提示を瞬時に行うため、サービスのさらなる向上につながると期待している。弊社の課題に寄り添った提案力やスピード感も魅力だ」と話している。