青森県庁は、公式ウェブサイトにおける県民向けサービスの向上と職員の業務負担軽減を目的に、生成AIチャットボット「AIデジタルスタッフ」を導入した。2025年12月1日より運用を開始している。5月18日、AIデジタルスタッフを提供するecbeingが発表した。事前のシナリオ設定が不要な仕組みを活用することで、課題となっていたQ&Aメンテナンスの業務工数を大幅に削減し、運用コストの7割強削減と利用件数の倍増を達成した。
青森県庁では行政改革およびDX推進の一環として、令和5年頃からシナリオ型のAIチャットボットを導入していた。しかし、ユーザーの満足度が約20%にとどまるなど、回答精度の向上が大きな課題となっていた。過去には約500件のQ&Aデータを追加登録する検証も行ったが、一時的な効果にとどまりシステム的な限界に直面。各担当部署への確認やデータメンテナンスに膨大な工数がかかっていた。他社システムを比較検討した際も事前登録の手間が障壁となっていたが、Web
サイトの情報を自動で読み込み回答を生成するAIデジタルスタッフの特性に着目し、職員の負担を大幅に軽減できるツールとして採用を決断した。依頼翌日にデモ環境が構築されるなどの迅速な対応も評価され、当初の計画を前倒して導入した。
新システムの導入により、大雪に伴う除雪や熊の出没状況、観光、伝統工芸品など、多岐にわたる質問への自動対応が可能となった。AIの回答をきっかけにウェブサイト内の詳細ページへ遷移するユーザーが増加し、サイト全体の回遊性向上につながっている。また、2026年開催の「国スポ・障スポ」に関する情報を質問例文としてチャット画面にあらかじめ設置することで、利用者の興味を喚起し、県の重点事業へスムーズに案内する導線としても機能している。さらに、昨年12月に発生した突発的な地震などの災害時においても、ウェブサイトに情報を掲載するだけでAIが即座に回答へ反映できる機動力を備えており、迅速な情報発信手段として機能している。
導入効果として、チャットボットの月間利用件数は従来の約1600件から約3700件へと倍以上に増加した。コスト面では、従来のシステムで月額約22万円かかっていた運用コストが月額5万円となり、7割強の削減に成功した。文字数や読み込みページ数による従量課金が発生しない定額制であるため、予算管理が厳格な自治体でも費用を気にせず運用できる点がメリットとなっている。
業務面では、ホームページの更新とAI用のシナリオ作成という二重管理の運用が解消され、他部署への作成依頼にかかる調整コストや担当者の負担が軽減された。さらに、曖昧な質問でもAIがニュアンスを汲み取って適切な情報を提案するため、他部署の情報を探すための庁内検索ツールとしても職員に活用され、行政運営の効率化に貢献している。
今後は、災害時の緊急情報の発信強化などを検討しているほか、マニュアルやPDFなどのオフラインデータをAIに読み込ませる「オフラインデータ連携」機能の活用も視野に入れ、県民サービスの向上と満足度向上を目指す。