ヤンマー建機は、分断されていた各システムのデータ統合と活用を目的に、製造業AIデータプラットフォーム「CADDi」を採用した。7月2日、同プラットフォームを提供するキャディが発表した。2025年度より開発や購買など5つの部門で本格活用を開始しており、導入から1年で取引先候補の選定時間を最大70%削減するなどの成果を上げている。
ヤンマー建機は、小型建設機械分野を展開するグローバル企業で、ミニショベルなどの製品群における開発からアフターサービスまでを一貫して手挂ける。同社では従来、設計、購買、品質管理の各システムが分断されており、必要な情報にたどり着くまでに多大な工数が発生していた。類似の図面を見つけられないことで新規図面を重複して起こす事態が続き、コスト増大の一因となっていた。また、データ活用のノウハウが一部のベテラン社員に集中しており、不具合発生時の類似部品への水平展開に時間を要するなど、組織全体でのデータ共有と活用に課題を抱えていた。
こうした背景から同社は、図面の電子管理環境はあったものの類似図面を検索する手段が乏しかったため、AIを活用したデータプラットフォームであるCADDiの導入を決断した。選定にあたっては、図面に別の情報を紐付けられる拡張性や、AI-OCRによる文字データの取得によって検索性や収集性を高められる点を評価した。
導入プロセスでは、開発、購買、原価企画、品質保証、品質管理の5部門へ同時に展開し、それぞれの部門が独自の活用方法を見つける体制をとった。購買部では、AI類似図面を活用して取引先候補の絞り込みを行った結果、1部品あたりの選定時間を従来の5〜10分から2〜3分へと最大70%削減した。これにより、経験の浅い担当者でもベテランと同等の精度での絞り込みが可能になった。品質保証部では、数千件のサプライヤー調査報告書を図面と紐づけて管理し、不具合発生時の情報展開や設計変更後の参照を迅速化した。開発部でも類似形状の部品探索などが定着し、1人あたり週1時間分の業務を効率化している。
今後は、各部門での活用定着にとどまらず、設計や原価企画、品質管理が連動した機種横断での図面流用を進め、設計工数と品質リスクの低減を目指す。また、ログイン率20%という目標を設定して調べることの習慣化やデータ管理の意識付けを図り、業務経験の浅い社員の早期戦力化など組織全体のデータ活用能力の底上げを推進していく。