理学ボディは、全社横断のAI推進プロジェクトを始動し、業務時間の削減と経費の削減を実現した。9月8日、同社が発表した。非エンジニア主導でプロジェクトを進めた結果、わずか2カ月で月間80時間、年換算で960時間の業務時間を削減した。今後は社内業務の効率化に留まらず、顧客向けプロダクトにもAI活用を拡大し、社員が顧客と向き合う時間を創出する。
理学ボディは、理学療法士の技術で世界中の人々を健康にすることを目指すヘルスケアベンチャー。事業の急成長に伴い、従業員がより創造的で付加価値の高い業務に集中できる環境づくりが経営上の課題となっていた。この課題に対し、AIを単なる業務効率化ツールではなく「人が価値を最大化できる働き方を実現するパートナー」と定義し、2025年6月に代表自らが参画する「AI推進プロジェクト」を正式に発足した。
プロジェクト始動にあたり、AI活用に関する全社員アンケートを実施。現場の声を基に「AI関連ツールの利用補助」「隔週での勉強会開催」「管理職によるPoC(概念実証)の伴走」「Slack専門チャンネルでの情報共有」の四つの施策を同時並行で実施した。特に、非エンジニアの社員がAI活用に馴染みがないという課題に対し、全部署へのヒアリングを通じて業務課題に寄り添った活用支援を行った。
これらの施策により、経理、労務、広報PRなど各部門で具体的な業務改善が実現している。経理部門では、これまで15時間かかっていた複雑な経理処理や定型業務をRPAも活用し、30分に短縮した。労務部門では、社内からの問い合わせ対応を自動化する「お問い合わせBot」を開発し、自身の対応工数を大幅に削減した。広報PR部門では、手作業で行っていた複数のメディアの問い合わせフォームへの入力を自動化し、情報発信のスピードと正確性を向上させた。これらの地道な取り組みの積み重ねが、年間960時間の業務削減という成果に繋がっている。
AI推進プロジェクト担当者で総務部の堀井凪紗氏は「私自身が非エンジニアであるため、社員にアウトプットするためには常に学び続ける必要があり、良い意味でプレッシャーを感じながら走った2カ月だった。しかし、経営陣の力強いコミットメントと、何より社員の皆さんの前向きな姿勢のおかげで、これほど早く成果に繋がったのだと実感している」とコメントしている。
同社は今後、社内業務効率化で得られた成功とノウハウを元に、プロダクトにおけるAI開発へと領域を拡大する方針だ。現場の「仕事のための仕事」をAIで効率化することで、社員が顧客と向き合う時間を創出し、顧客満足度の向上に繋げることを目指す。