日本IBM、AWS活用の標準化で開発効率を向上 ガバナンス確立と運用最適化を両立

2025年12月24日15:46|ニュースCaseHUB.News編集部
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 日本IBMは、小売業の顧客の全社的なAmazon Web Services(AWS)活用に向けた標準ガイドライン策定および標準環境の構築を実施した。システム基盤の構築支援として、スカイアーチネットワークスの「AWSアドバイザリー」および「AWS導入支援(設計・構築)」を採用している。12月24日、スカイアーチネットワークスが発表した。短期間での要件定義から構築までを完了させ、クラウド管理の属人化解消や開発効率の向上につなげた。今後もAWS関連プロジェクトでの連携を強化し、スピーディな事業推進を図る考えだ。

 日本IBMは、AIやクラウド、量子コンピューティングなど幅広いテクノロジーを提供し、企業のデジタル変革を支援している。今回のプロジェクトでは、同社の顧客である小売業の企業が本格的なIT投資に取り組む際、クラウド管理基盤の整備とIT統制の適用が課題となっていた。

 背景には、顧客企業内でAWSの利用が拡大する一方で、全社的な統制がないまま各プロジェクトで構築が進んでいた実態があった。全体の標準化がなされていないため、ガバナンスや設計をプロジェクトごとに都度検討する必要があり、結果として開発効率の低下を招いていた。また、運用体制も属人化しており、開発から保守まで特定の人員に負担が集中していたほか、セキュリティ対策もシステム単位の個別対応となっていたため、管理の分散と重複が複雑化を招いていた。

 これらの課題を抜本的に解決し、AWS環境の整備と運用最適化を図るため、日本IBMは外部の専門パートナーとの協業を模索。AWS環境の構築・運用における高い専門性と豊富な経験、そして専門人材の層の厚さを評価し、スカイアーチネットワークスを選定した。スカイアーチネットワークスは、IBMグループのAWS専業クラウドインテグレーターであり、AWSアドバンストティアサービスパートナーとして多数の認定や1万件以上のプロジェクト実績を有している。

 プロジェクトは、要件整理から始まり半年間にわたって進行した。最初の1カ月でスコープの明確化とロードマップ策定を行い、続く2カ月で具体的な要件定義資料を作成。スカイアーチネットワークスの高い専門性により、当初の提案段階から具体的な成果物のイメージを共有できたことが、スムーズな進行に寄与した。

 導入の効果として、顧客からのタイトなスケジュール要求に応えつつ、高品質な環境構築を完遂できた点が挙げられる。プロジェクト中に当初のソリューションでは対応困難な課題が発生した際も、最新のクラウド情報を基に即座に代替案が提示されたことで、要件を変更することなく対応できた。また、主担当者が不在の際もチーム全体で遜色のない対応がなされるなど、組織的な対応力の高さも評価の対象となった。

 今回の取り組みにより、AWSの標準化を短期間で達成し、クラウド運用の効率化に大きく貢献した。日本IBM製造・流通サービス事業部流通テクニカルソリューションITアーキテクトの栗野康之氏は、AWSでの構築や、より前のレベルでの検討段階からスカイアーチネットワークスに依頼することで、リソースやコストの調整面で選択肢が増え、スピーディにプロジェクト推進ができることを実感したと話している。

 同社クラウドアドバイザリストラテジーコンサルタントの森川哲史氏は、スカイアーチネットワークスの柔軟な対応力がプロジェクト成功の鍵だったと振り返る。今後もAWSを利用したプロジェクトは増加していく見通しで、引き続き両社の連携を通じて顧客のビジネス成長を支援していく方針だ。

ニュースリリース