北海道ガスは、供給施設のメンテナンスや緊急対応業務の効率化を目的に、ウェアラブルクラウドカメラとクラウド録画サービス「Safie(セーフィー)」を採用した。12月25日、セーフィーが発表した。ウェアラブルカメラを活用した遠隔サポートや遠隔立会により、現場への移動時間を大幅に削減した。さらに、ベテラン社員が遠隔から複数の若手を同時に指導できる体制を構築し、技術伝承と教育の質の向上も図る。
北海道ガスは、積雪寒冷地である北海道に適したエネルギー社会の形成を目指し、ガス、電力、エネルギーマネジメントサービスの3事業を展開している。同社の供給保安部では、ガス供給設備の維持管理や現場への指令、ガス漏れなどの緊急対応を担っている。従来、供給施設の定期メンテナンスでは自社作業の実施や外注作業の立会のために頻繁に現場へ赴く必要があった。遠方の現場では往復2時間を要するなど移動の負担が大きく、限られた人員でいかに効率的に業務を遂行するかが課題となっていた。
また、組織の構成として若手社員が多く、ベテラン1人が4人から5人の若手を教育する状況にあり、育成業務の負担軽減も急務だった。こうした背景から、同社は他部署での導入実績があったウェアラブルクラウドカメラ「Safie Pocketシリーズ」の検討を開始。ワンタッチで撮影できる操作の簡便さやアタッチメントの豊富さ、ライブおよび録画映像を容易に確認できる利便性に加え、同社の厳しいセキュリティ要件をクリアしている点を評価し、正式な採用を決めた。
供給施設の維持管理を担う供給チームでは、Safie Pocketを三脚で固定して作業現場を定点撮影し、本部の供給防災センターから遠隔サポートや遠隔立会を実施している。移動時間が往復2時間の現場で10日間のメンテナンスを行う場合、約20時間の移動時間を削減できる計算だ。また、遠隔立会の活用により、現地に滞在していた時間を他の業務に充てられるようになり、大幅な省人化と効率化を達成した。ガス漏れ対応を行う保安チームでも、緊急性の高い事案においてカメラを活用し、供給防災センターがリアルタイムで状況を把握して適切な指示を出す体制を整えた。
人材教育面での恩恵も大きい。クラウドに記録された映像から必要なシーンを切り出し、若手主導で動画マニュアルを作成することで、作業を止めることなく効率的にノウハウを蓄積できている。ベテラン社員による振り返り視聴を通じて、若手へのきめ細かなアフターフォローやスキルアップ支援も可能になった。また、屋外の供給施設には固定式のPTZカメラも設置し、不審者検知などの防犯機能とあわせ、特定の作業スポットを遠隔から確認できる環境を整備している。
北海道ガス供給保安部供給チームの竹髙裕喜氏は、現場への移動時間が減り、作業品質を維持したまま省人化できた点は業務効率化に大きなインパクトがあったと話す。遠隔でも状況を把握しやすくなったことで、ベテラン1人が多くの若手をサポートできるようになった点も高く評価している。同保安チームの松尾圭佑氏は、現場映像の共有により人材育成の内容が充実したとした上で、今後は計器の数値確認や会議の議事録代わりなど、さらに活用範囲を広げていきたいとしている。