ポケモン、クリーチャーズ、ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)の合同プロジェクトでは、スマートフォン向けアプリ「Pokemon Trading Card Game Pocket(ポケポケ)」のサーバー基盤に、Googleのクラウドサービス「Google Cloud」を採用した。12月22日、Google Cloudが発表した。グローバル規模での同時接続に耐えうる安定したシステム環境を構築し、全世界のユーザーに対して遅延のない快適なプレイ体験を提供している。
ポケモンカードを手軽にコレクションできるアプリ「ポケポケ」は、2025年10月に累計1.5億ダウンロードを突破し、世界規模で支持を集めている。同タイトルは、パブリッシュと全体プロデュースを担うポケモン、カードゲーム開発を担うクリーチャーズ、そしてサーバー・アプリ開発と運用を担うDeNAの3社合同プロジェクトとしてスタートした。
世界各国での展開を見据えた同プロジェクトでは、数千万人規模に及ぶ膨大な同時接続ユーザーを支える高度な拡張性と、カードデータの一貫性を保証する強固なデータベース基盤の構築が不可欠だった。特に、ゲーム内でのパック開封やカードの管理など、データ更新が頻繁に発生する処理において、高い性能と信頼性を両立させることが課題となっていた。
検討の結果、DeNAはシステムの中心となるデータベースとして「Cloud Spanner」を採用した。Cloud Spannerは、グローバル規模での拡張性と強力な一貫性を兼ね備えており、大規模な負荷分散が可能だ。また、アプリケーション実行基盤のコンピューティングリソースには、Googleが独自開発したARMベースのプロセッサを搭載した「C4Aインスタンス」を選定した。
基盤の選定にあたっては、以前から同社のシステム基盤構築を支援しているDeNAの知見が活用された。C4Aインスタンスは従来のインスタンスと比較してコストパフォーマンスに優れており、大規模なサーバー群を運用する上での経済的なメリットが大きい点を高く評価した。また、Cloud Spannerの活用により、データベースの運用管理工数を大幅に削減できる点も採用の決め手となった。
今回のシステム刷新により、全世界からの膨大なアクセスに対しても、極めて低い遅延で安定したレスポンスを維持できるようになった。リリース直後のピーク時においても、サーバーダウンやデータの不整合を起こすことなく安定稼働を継続しており、運用の効率化とコストの最適化を同時に達成したとしている。
DeNA IT 本部 IT 基盤部副部長の天野知樹氏は、「Cloud SpannerとC4Aインスタンスを組み合わせたことで、グローバル展開に必要な性能とコストのバランスを高い次元で両立できた。世界中のファンが同時に遊ぶゲームにおいて、基盤の安定性は最も重要だ」と語る。また、開発を主導した同社ゲームサービス事業本部のエンジニアである柴田佳祐氏は、「Google Cloudの最新技術を積極的に取り入れることで、エンジニアがインフラ管理に忙殺されることなく、より面白いゲーム体験の開発に集中できる環境が整った」とコメントしている。
同プロジェクトでは今後も、Google Cloudの最新ソリューションを積極的に活用し、サービスの品質向上と機能拡張を加速させていく。さらに広がるポケモンの世界を支えるため、より強固で柔軟な開発基盤の構築を推進していくとしている。