ジェイテクト、フィジカルAIで部品取り出しの成功率97.1%に 工場で実証

2026年11月4日09:00|ニュース|CaseHUB.News編集部
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 ジェイテクトは、自動車部品の生産ラインで部品を無作為な状態から取り出す「ランダムピッキング」工程にフィジカルAIを適用する実証で、ピッキング成功率97.1%を達成した。既存の制御と比べて12.1ポイント高く、平均サイクルタイムも16%短縮した。Upstage AI、カラクリとの共創活動として「フィジカルAI開発支援プログラム by AWSジャパン」に参画し、田戸岬工場で実施した。11月2日、ジェイテクトが発表した。

 ジェイテクトはトヨタグループの一員で、ステアリングや駆動製品などの自動車部品、ベアリング、工作機械を手がける。2030年に目指す姿として、モノづくりとモノづくり設備でモビリティ社会の未来を創るソリューションプロバイダーを掲げている。

 同社は第二期中期経営計画の重点施策に「デジタルモノづくり」を掲げ、人材育成とAI基盤の構築を進めている。各事業本部の社員がAI・ソフトウェア開発の専門部署で学ぶ「社内留学制度」や、全社員参加型のデジタルリテラシー向上活動のほか、AI活用プラットフォームやAIエージェントの構築にも取り組んできた。

 製造業では、多品種生産への対応や人手不足、熟練技能者の高齢化、技能伝承などの課題が深刻になっている。同社は課題解決に向けた取り組みの一環として、生産現場にフィジカルAIを実装できるかを検証した。Upstage AI、カラクリとの共創活動について、2026年4月に同プログラムへの採択を発表している。実証は同年3月19日から8月31日まで実施した。

 対象は、田戸岬工場のCVJ(等速ジョイント)生産ラインにおけるランダムピッキング工程だ。ワークの位置や姿勢が一定でないため、高度な認識能力と柔軟な動作制御が求められる。既存の制御では環境の変化への対応に限界があり、生産性の向上が課題となっていた。

 実証では、仮想空間で学習したフィジカルAIをロボットに実装し、実環境での動作を検証した。AIがカメラ画像からワークの位置や状態を認識し、最適な把持位置や搬送動作を自律的に判断する。高速な位置検出AIと高精度な形状認識AIを組み合わせ、認識精度と処理速度を両立させた。

 ピッキング性能の差が出やすい高難度の条件で評価した成功率は、従来の85.0%から97.1%に上がった。平均サイクルタイムも従来比で16%短くなった。多品種や不定形のワークにも柔軟に対応できることを確認した。既存設備にAI用のPCを追加するだけで導入でき、大規模な設備改造なしに効果を出せることも分かった。

 今後は今回の成果を起点に、二つの方向でフィジカルAIの現場実装を進める。自動化が進んだ工程で成功率の向上や人の介入ゼロを目指す「既存設備×フィジカルAI」と、熟練技能に頼る工程で技能の継承や形式知化を進める「熟練技能×フィジカルAI」だ。工場が自ら考え、人とともに成長し続けるモノづくり現場の実現を目指す。

ニュースリリース