スーパーマーケットチェーンのヤオコーは、従業員向けITヘルプデスクの運営委託先をNTTデータ・マーケティングアクトに切り替え、FAQを再構築した。約1,200件のナレッジを精査して約600件のFAQを整えてから運用を始め、85%前後だった応答率を93~95%に高めた。運用しながらFAQを追加・改善し、解決率の向上につなげている。11月2日、NTTデータ・マーケティングアクトが導入事例として発表した。
ヤオコーは埼玉県を中心に関東1都6県で200店舗以上のスーパーマーケットを展開し、パート・アルバイトを含めて3万2,000人以上が働く。2018年ごろから、本部や店舗で使うIT機器のトラブルや操作方法の問い合わせを受け付ける統合ヘルプデスクを設け、運営をベンダーに委託してきた。問い合わせの電話は月約800件に上る。
従来の委託先は複数企業のヘルプデスクを掛け持ちするシェアードサービス型で、応答率や解決率などのKPIを達成できない状態が続いていた。担当者の経験や知識に頼る部分も多く、対応の標準化やナレッジの蓄積も不十分だった。システムの複雑化やデバイスの多様化で問い合わせの内容も高度になっていた。同社はコストの最適化も含めて提案依頼書(RFP)を出し、7~8社を比較した。そのなかで「進化し続けるヘルプデスク」をテーマに、運営実績やベンダー切り替えのノウハウ、KPIによる品質の可視化、FAQとVOC分析を組み合わせた継続的な改善の仕組みを提案したNTTデータ・マーケティングアクトを選んだ。コストの削減も見込めた。
運用開始に向けて、まずナレッジを整理した。従来のFAQは情報が古く、活用できるのは100件ほどだった。約1,200件のナレッジを精査し、オペレーターが自分で解決しやすいQ&A形式で約600件のFAQに作り直した。質問文と回答文の表現をそろえ、問い合わせ管理ツール、サービスカタログ、FAQシステムの3つに共通のカテゴリーを持たせて、どこからでも必要な情報にたどり着けるようにした。
2026年1月から既存ベンダーとの並行運用を始め、対応の割合を段階的に増やして4月に完全移行した。現在はオペレーター2席、スーパーバイザー1席の計3席で、毎日午前7時から午後10時まで対応している。移行は大きなトラブルもなく、従業員が窓口の交代に気づかないほどだったという。以前は電話がつながらないという苦情もあったが、応答率は93~95%を維持している。また、解決までに2~3回のやりとりが必要なケースもあったが、現在は多くの場合、1回の問い合わせで回答を得られるようになった。
運用開始後はKPIの一つに「FAQ参照率」を加えた。問い合わせとFAQのずれを把握し、足りないFAQを補う改善サイクルを回すためだ。運用開始時に約50%だったFAQ参照率は83~84%に上がり、FAQは約1,100件に増えた。今後は古くなった情報を削除するなど、質を高める精査に取り組む。
ヤオコーは、ヘルプデスクを問い合わせ窓口から現場の業務を支えるサービスデスクへ進化させる考えだ。FAQを従業員に公開して自己解決を促し、トラブルの未然防止にも取り組む。問い合わせが減れば、年末調整など人事領域の問い合わせにも対象を広げることを検討している。生成AIを活用したナレッジの高度化やオペレーター支援も視野に入れる。