メビウス製薬は、お客様センターの利便性向上と業務効率化を目的に、IVRyが提供する対話型音声AI SaaS「アイブリー」を採用した。1月26日、IVRyが発表した。導入後約1ヶ月で受電率が99%まで向上したほか、解約率を約6割削減することに成功した。今後はAIによる通話データの分析を深め、24時間365日対応可能な顧客対応プラットフォームの構築と対応品質のさらなる向上を目指す。
シミ対策・美白ケア・エイジングケアに特化したスキンケアブランド「SIMIUS(シミウス)」などを展開し、化粧品や医薬部外品の製造販売を手掛けるメビウス製薬。同社は、これまで有人オペレーターによる電話対応を中心にお客様センターを運営してきた。しかし、夜間や休日といった受付時間外の問い合わせに加え、繁忙時の入電集中による「あふれ呼」への対応が難しく、機会損失の発生が長年の課題だった。
また、従来の電話システム(CTI)では、問い合わせの詳細やオペレーターの対応状況を把握するためにBPO事業者へ都度確認する必要があり、データの実態を把握しづらい構造的な問題があった。用件の正確な把握が困難なことから、オペレーターの対応スキルが属人化しやすく、定期購入モデルにおいて重要となる解約抑止のノウハウ共有や新人教育への活用が遅れる一因となっていた。
こうした背景から、メビウス製薬はCTIそのものをAI活用に最適化されたシステムへ刷新することを決断。アイブリーの採用にあたっては、24時間365日の自動応答が可能になる点に加え、通話データを定量的に分析できる「IVRy Analytics」による対応品質の可視化や、CRMツール「Zendesk」との自動連携による後処理業務の効率化を評価した。
導入の効果は速やかに表れた。AIが電話応答を自動化・標準化することで、同じスタッフ数のまま受電率は99%まで改善された。AIが定型的な問い合わせを完結させることで、有人オペレーターが人にしかできない丁寧な対応に注力できる環境が整い、結果として解約率の大幅な抑制につながった。また、通話内容の自動文字起こしや要約機能により、手動によるレポート作成などの煩雑な社内業務の負担も軽減されている。
今後は、蓄積された膨大な通話データを活用する「IVRy Data Hub」を通じて、組織全体の対応品質向上に取り組む。AIが解約抑止の成功事例や満足度の高い対話ログを抽出・分析し、新人教育の教材として活用することで、スキルの標準化と早期戦力化を図る。同時に、薬機法などの法令に抵触する恐れのある案内を自動検知するモニタリング体制を構築し、コンプライアンスの強化も進める。
メビウス製薬代表取締役の長谷川貴一氏は、「実態が見えにくい中で運営上、危機的な状況に陥ったこともあるが、アイブリーの導入により無理に電話を取る運営から脱却できた。受電に張り付かなくても成り立つ仕組みができたことでスタッフに心理的な余裕が生まれ、一人ひとりのお客様に丁寧に向き合えるようになった。今後はAIと人が最適に役割分担し、人が会話するからこそ生まれる温かさをAIで支え、より良い顧客体験を実現したい」としている。