トラスコ中山は、SAPジャパンのクラウド型ERP「SAP S/4HANA Cloud Private Edition」を基盤とした新基幹システム「パラダイス4」を稼働した。1月26日、同社とSAPジャパンが発表した。従来のオンプレミス環境から戦略的なクラウド基盤へ移行することで、デジタルサービスの展開と業務効率化をスピーディーに推進するという。将来的な在庫数100万アイテムへの拡大や売上高5000億円の達成を見据え、成長を支えるシステム基盤を確立した。
機械工具卸売商社であるトラスコ中山は、モノづくり現場を支えるプラットフォーマーとして、サプライチェーン全体の利便性向上に取り組んでいる。「問屋」の立場からデジタルトランスフォーメーション(DX)を図ることで、商習慣の変革を目指してきた。2020年1月には基幹システム「パラダイス3」を稼働させ、AI見積「即答名人」や在庫管理システム「ZAICON 3」など、自動化を主眼としたデジタルサービスを順次投入している。
同社の業務は1日あたり約20万行に及ぶ注文を即納する体制に支えられており、基幹システムには大量のデータをリアルタイムかつ正確に処理する高い性能と安定性が求められていた。また、2030年に向けて在庫アイテム数を大幅に拡充し、現在の業績規模を大きく上回る成長を計画している。こうした将来的な拡張に対応し、最新のテクノロジーを迅速に取り入れられる環境を整備するため、基幹システムのクラウド化を決断した。
今回稼働したパラダイス4は、ロジスティクスや会計を支える中核であると同時に、同社が展開する各種デジタルサービスを支える基盤だ。基盤選定にあたっては、これまでの基幹業務を安定的に支えてきた実績に加え、クラウド環境における高い安定性と拡張性、独自のサービスを実現するためのカスタマイズ性を備えている点を評価し、SAP S/4HANA Cloud Private Editionを採用した。
トラスコ中山はこれまでも、データを核としたデジタルサービスと在庫の連携により利便性を高めてきた。仕入先との業務を一元化する「POLARIO」では問い合わせの減少や回答の迅速化を実現し、即答名人ではAIを活用して見積回答時間を最短5秒まで短縮するなど、具体的な成果を上げている。パラダイス4は、これらの既存サービスを支えるだけでなく、今後の新たなデジタル施策のスピードを向上させる役割を担う。
新システムの稼働により、急激なデータ量の増加にも柔軟に対応できるインフラ環境が整った。同社は今後、この高度化された基盤を最大限に活用し、さらなる業務改革とサプライチェーン全体の効率化を加速させる方針だ。