北九州市は、介護保険制度に関する問い合わせに自動回答する生成AIシステムを構築し、9月1日から運用を開始する。8月28日、開発を手がけたエクサウィザーズが発表した。法人向け生成AIサービス「エクサベース AI」などの技術基盤を活用。これまで数日を要していた回答業務を短縮し、市内約2000カ所の介護事業所における待機時間解消と市職員の業務負荷軽減を目指す。
介護報酬制度は3年に一度改定され、加算項目の変更や要件の見直しが行われるため制度の複雑化が進んでいる。北九州市内の約2000の介護事業所は、加算要件などに疑義が生じた際に市介護保険課へ問い合わせを行い、その回答をもとに介護報酬を請求している。しかし、市職員が膨大な国の法令や通知を確認しながら回答を作成するには数日以上を要するケースもあり、事業所の業務停滞や職員の大きな業務負担が課題となっていた。
北九州市は「対話型AIを活用した介護事業所等の生産性向上事業業務委託」の公募型プロポーザルを実施し、受託したエクサウィザーズが実務に即したシステムを構築した。新システムは、検索拡張生成(RAG)技術を用いて国の通知類をAIが参照しやすい形式に構造化してデータベース化。類似用語の定義や頻出する質問への最適化により、高い回答精度を確保している。また、回答作成時に参照した厚生労働省の資料や介護保険法の原文などの根拠資料もあわせて提示する。
運用面では「AIと人」のハイブリッド対応を取り入れた。利用者がAIの回答に疑問を持った場合はシステム上から市へ直接メールで質問できる。職員が個別回答を作成する際は生成AIが支援し、最終的な回答は上長が承認した上で送信することで誤回答のリスクを抑える。
システムの稼働により、介護現場の待機時間を解消して円滑な業務継続を支援するとともに、専門性の高い問い合わせ対応を標準化して職員の業務負荷軽減と属人化の解消を図る。