イオンは、2030年度に向けた中長期経営計画の実現に向け、次世代の経営幹部候補の可視化と育成を強化している。創業以来培ってきた経営理念・行動原則を体系化した「経営知見(Regulus)」を判断軸に、エクサウィザーズの人材アセスメント「DIA ver3.0」とAIロールプレイングサービス「エクサベース ロープレ」を経営幹部候補の育成プログラムに組み込んだ。9月18日、エクサウィザーズが発表した。候補者を同一基準で見立て、育成前後の変化を確認するとともに、判断根拠をたどれる形でフィードバックする仕組みを構築した。
イオングループは2030年度を見据えた中長期経営計画のもとで事業ポートフォリオの変革を推進しており、事業の変化に合わせた人材の見立てと育成の再構築を課題としていた。経営人材の育成においては、実績が積み上がる前の段階から次代を担う人材を発見し、計画的に育成する仕組みが求められていた。従来は、評価の属人化や基準のばらつきが課題になりやすかった。そこでイオンは、AIを活用して候補者を同一基準で見立て、研修前後の成長を検証可能な形で追跡する仕組みを整え、今回の取り組みを開始した。
イオンはこれまでも、エクサウィザーズの生成AIツールやデジタル人材向けアセスメントを採用し、グループ全業態でのAI活用推進や人材発掘を進めてきた。今回の施策では支援範囲を人材育成戦略全体に広げ、HRコンサルティングとAIを組み合わせた枠組みを構築した。
新プログラムでは主に3つの仕組みを活用する。一つ目は、イオンの行動原則とDIAの評価項目を紐づけた体現度レポート「Regulusアセスメント」による可視化だ。理念や行動原則の体現度を根拠とともに示し、個人ごとの推奨育成アクションを出力する。研修修了時にも受検することで、期間中の成長度を同一基準で測定する。Regulusは、イオンの経営理念・行動原則を体系化した独自の「経営知見」である。Regulusアセスメントは、その知見とDIAの評価項目を結び付けた仕組みとなる。
二つ目は、エクサベース ロープレを用いた経営理念に基づく対話力の訓練だ。イオンの経営理念を反映したAIアバターとの対話を反復し、コーチングや理念を自身の言葉で伝える力を養う。対話内容が経営理念や行動原則に沿っているかを評価し、フィードバックする。三つ目は、研修の成果発表における企画・提案を同一基準で評価する仕組みで、完成度と経営視座の2軸から根拠を明確にして判定を行う。
これらの仕組みにより、実績が積み上がる前の段階にある多様な人材についても、行動や思考の様式を同一基準で捉え、候補者の見立てに必要な客観的根拠を示せる体制を整えた。また、訓練前後の成長を本人の納得感が高い形でフィードバック可能になった。
イオン人材育成部部長の吉田氏は、将来を担う人材を実績形成前の段階から見立てて育てるためには基準の言語化が不可欠だったとし、創業以来の理念や行動原則に資するかを判断できる体制が整ってきたと述べている。今後は検証可能な根拠や見立ての材料を示す仕組みとしての定着を目指す。
今後は、施策の効果検証を進めながら研修以外の日常業務への活用拡大を図る。経営幹部育成で得た知見を他の人材育成施策にも展開し、経営戦略と連動した人材戦略の実現を推進する。