日本取引所グループ、運用監視にAIを本格適用 アラート対処の判断を支援

2026年10月21日11:24|ニュース|CaseHUB.News編集部
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 日本取引所グループ(JPX)は、日立製作所の「JP1 Cloud Service 生成AIアシスタント」を、取引システムの運用監視業務に、10月から本格的に使い始めた。アラートが出たときの対処手順を、AIが絞り込み、オペレーターの初動対応を支える。実運用を想定したPoCでは、AIの判断精度が97%以上だった。10月20日、JPXと日立が発表した。

 JPXは、株式やデリバティブ商品などの取引を担う、40以上のシステムを、24時間365日の体制で、集中監視している。アラートが出たときの対処手順は、これまで熟練者が経験で選んでいた。システムの高度化と複雑化が進み、IT人財の不足も深刻になる中、熟練者のノウハウの継承、運用品質の維持、持続可能な運営体制の構築が、急務になっていた。

 日立は、JPXのシステム運用を、20年以上にわたり、統合システム運用管理の「JP1」シリーズで支えてきた。両社は、2022年から、将来の運用の高度化を検討してきた。今回導入した「JP1 Cloud Service 生成AIアシスタント」は、アラートが出たときに、関連する対処手順と判断の根拠をAIが示す。経験の浅い、着任して間もないオペレーターでも、安定した品質で対応でき、業務の属人化を解消して、人員構成の変化に左右されない運営を目指す。

 PoCでは、JPXが対象のシステムで蓄積してきた、1万件以上のインシデント事例と対処手順を使い、アラートの発生を想定した、約1600件のテストケースで、対処手順の候補を絞り込む検証、評価、改良を重ねた。AIの回答に判断の根拠を示す機能、AIが誤りやすい項目のプロンプトを補助する機能、絞り込みの精度を高める機能などを実装して調整し、その成果を、JP1の製品機能に反映した。ハルシネーションを抑え、回答の品質を高め、1600件以上のテストケースで、AIが正しい対処手順の候補を絞り込めた割合が、97%以上だった。

 今後は、AIの適用範囲を、段階的に広げる。現在は人が担う、障害が起きたときの初動の切り分けや、後続の対処業務に、AIエージェントの適用も進め、人とAIが協働する、次世代の運用モデルを目指す。JPXが掲げる長期ビジョン「Target 2030」の実現に向け、市場インフラの高度化に取り組む。

ニュースリリース