明治安田生命保険(明治安田)は、Salesforceの自律型AIエージェントプラットフォーム「Agentforce」を活用したシステム開発工数の見積もり自動化に関する実証実験(PoC)を完了した。6月15日、セールスフォース・ジャパンが発表した。現在は本番運用に向けた準備フェーズへ移行しており、見積もり業務の負荷削減と精度向上を図る。2026年度中に全社的な本番運用を開始する予定だ。
明治安田では、各ビジネス部門から情報システム部に対してシステム開発工数の見積もり依頼が頻繁に発生していた。しかし、見積もりの算定には専門的な知識と経験が求められるため、限られた有識者が時間をかけて対応せざるを得なかった。これにより、情報システム部における継続的な負荷増大と、ビジネス部門への回答リードタイムの長期化が大きな課題となっていた。
こうした状況を受け、同社はSalesforce上に集約・蓄積してきたシステム開発案件の情報に着目した。蓄積されたデータ資産とAgentforceを組み合わせることで、見積もり業務の高度化および迅速化を実現できる可能性があるとして検討を開始。会話型ユーザーインターフェースや、高度な推論エンジン、強固な信頼性を備えるAgentforceを用いたPoCの実施に至った。
PoCでは、ユーザーがAIとの対話を通じて開発内容を入力すると、Agentforceが開発要素を推定し、Salesforce上に蓄積された過去の類似案件を検索する仕組みを構築した。抽出された案件の類似度に基づいて工数を算定し、見積もり結果の提示までを一連のプロセスとして自動化する流れを検証した。
検証の結果、AIエージェントが過去の案件から類推して工数を算出するため、情報システム部担当者の作業の一部を代替し、業務負荷を軽減できることが確認された。さらに、要件が十分に固まっていない開発案件であっても、AIエージェントがチャット形式の対話を通じて開発要望を引き出すことで、必要な要件の洗い出しや整理の支援にもつながる効果が見出された。
現在はフェーズ2として、さらなる精度向上に向けたデータ構造の最適化や、サブシステム単位での粒度調整、表記ゆれの制御といった具体的な改善施策を進めている。今後は情報システム部内での試行運用を経て、ユーザー部門への展開と保守運用体制の構築を加速させていく計画だ。
明治安田情報システム部の池田匡克氏は、システム開発における工数算定は、これまで高度な専門知識と多くの時間を要する業務だったが、Agentforceの導入により、AIが自律的に過去の膨大なナレッジを活用し、迅速かつ客観的な見積もりを算出することが可能になると説明する。引き続き情報システム部の負荷を軽減するだけでなく、ビジネス部門の意思決定を加速させ、確かな安心を顧客に届けていきたいと話している。