日東電工、エージェント型AI活用BPOで経費精算チェックの9割を自動化

2025年11月27日01:08|ニュースCaseHUB.News編集部
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 日東電工(Nitto)は、経費精算チェック業務の効率化と品質向上を目的に、エージェント型AIを活用した「AI First BPO」の運用を開始した。11月26日、導入を支援した日本IBMが発表した。従来のBPOサービスと自律的なAIを融合させることで、経費精算におけるチェック業務の90%を自動化し、大幅な生産性向上につなげる。

 Nittoは、偏光板などの光学材料や工業用テープ、医療用関連製品などをグローバルに展開する高機能材料メーカー。競争優位性を高めるため、変化に柔軟に対応できる経営インフラの整備と、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を活用した業務改革を推進してきた。

 同社は2016年から、BPOとSaaSを組み合わせた「BPaaS」への改革を進め、経費精算システム「SAP Concur」などを導入してきた。2023年には領収書の読み取りや照合を自動化するなど業務プロセスの効率化を図ってきたが、依然として課題も残っていた。証憑と社内規定の整合性チェックや不備の検知、手順書の改訂などは担当者の目視確認や手作業に依存しており、業務負荷の軽減や精度向上、ガバナンス強化が求められていた。

 そこで、エージェント型AIとBPOサービスを融合したAI First BPOを採用し、11月から本番業務での実装を開始した。このソリューションは、従来の「AIが人を支援する」形式ではなく、「AIを中心に据えて業務プロセスを変革し、AIと人が協働する」という発想に基づくものだ。なお、BPOの運用は日本IBMの拠点である「IBM九州DXセンター」が支援する。

 導入したシステムでは、エージェント型AIが経費精算の手順書を読み込み、必要な情報を収集してチェック項目を自律的にタスク化する。各ドメインを担当するAIが確認作業を実行し、SAP Concurのワークフローへの反映や承認、不備検知時の差し戻し処理までを自動で行う仕組みを構築した。

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AI First BPOによる経費精算チェックのイメージ

 これにより、出張費や交通費などの経費精算チェック業務の90%を、人手を介さずにAIで自動的に確認・精査することが可能になった。経理担当者の業務負荷が軽減され、創出された時間で業務の質向上が期待される。また、規定変更などが生じた際の手順書整備といった最適化業務はBPO側で対応するため、運用管理の負担も軽減される。

 今後は、経費精算チェック業務以外にもエージェント型AIの活用範囲を拡大する方針だ。経理部門をはじめとして全社的な展開を推進し、AIと人が協働する新たな業務プロセスの確立を目指す。

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