荏原製作所は、デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)の「WalkMe」を採用した。3月16日、WalkMeが発表した。全社的なデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の一環として、わずか2年で45システムへの導入を完了。勤怠管理システムでの問い合わせの80%削減や、営業支援システムでの誤操作ゼロといった具体的な定量効果を創出している。
1912年創業の荏原製作所は、ポンプなどの産業機械メーカーとして世界の社会・産業インフラを支えてきた。現在は2035年に向けた長期ビジョン「E-Vision 2035」のもと、グローバル・エクセレント・カンパニーとしての成長を目指し、全社的なDX戦略に取り組んでいる。同社は2021年に経費精算システム「SAP Concur」を導入するなどデジタル化を進めてきたが、多機能なシステムを従業員が使いこなし、投資対効果を最大化させるための「活用の壁」が課題となっていた。
こうした課題を打破するため、同社は2023年にWalkMeの導入を本格化させた。採用にあたっては、既存システムをカスタマイズせずに機能を拡張できる俊敏性や、ユーザーの操作動線を最適化して認知的負荷を最小化できる点を評価した。また、専門チーム(CoE)による完全内製化体制を整備し、ガバナンスを維持しながら迅速に改善を回せる環境を構築したことも、導入を後押しした。
荏原製作所は「マニュアルは"読むもの"ではなく"なくすもの"」という独自のコンセプトを掲げ、人間中心設計に基づいたユーザー体験の実現を追求している。WalkMeを活用してシステム上に直接ガイダンスを表示することで、ユーザーが迷わずに業務を遂行できる環境を整備した。たとえば、本来300万円の改修費用が見込まれていたドキュメント管理システムの改善をWalkMeによる内製で対応し、コスト削減と迅速な導入を両立させた。
導入の効果は多岐にわたる。勤怠管理システムでは問い合わせ件数が80%減少し、ワークフローシステムにいたっては100%削減(問い合わせゼロ)を達成した。さらに営業支援システムでは誤操作のゼロ化を実現するなど、従業員のリカバリ対応に要していた時間を削減し、生産性向上に寄与している。こうした圧倒的なスピードでの全社展開と定量的な成果が評価され、WalkMeが主催するグローバルアワード「Realizer Awards 2026」のファイナリストにも選出された。
今後は、UXデザインや人間中心設計の観点をさらに取り入れ、導入済みシステムをフル活用できる環境づくりを加速させる。
荏原製作所情報通信統括部戦略企画部ビジネスアクセラレーション課課長の佐藤和也氏は、DXをシステム導入ではなく業務と人の変革と捉えていると語る。2023年に課題打破の切り札としてWalkMeを導入し、わずか2年で45システムへ展開できたのは、現場と経営層が同じ方向を向いて取り組んだ結果だとしている。今後はWalkMeを通じて、社員一人ひとりが業務に集中できる環境をさらにつくっていきたいと考えている。