マネーフォワードは、AIセールスエージェント「Effic」を導入した。9月16日、Efficが発表した。営業活動で得られる商談データを活用し、新人育成やナレッジ共有を促進、顧客対応の品質向上とプロダクト改善の迅速化につなげる。営業組織を単なる売上部門ではなく、開発や顧客と価値を共創する「ラボ」のような存在に進化させることを目指す。
マネーフォワードビジネスカンパニーのリーガルソリューション本部では、正社員と業務委託を交えた複数体制でクラウドベースの電子契約管理サービス「マネーフォワード クラウド契約」を提供している。リモートワークやオンライン商談の普及により、商談の記録は増えたものの、知見が個人に閉じてしまい、組織全体のナレッジとして活用しきれていないことが課題だった。
こうした状況を解消するため、同本部はEfficの採用を決定した。営業活動で得た商談データを自動で構造化・共有することで、情報分断を解消し、知見の循環と継続的な人材育成を目指す。採用にあたっては、長年にわたる経験で蓄積された「エース級の人材の知見」を、日々の商談活動から自然に組織の形式知として蓄積できるというEfficの思想が決め手になった。
Efficの導入後、営業活動と組織運営の両面で変化があった。商談データが可視化され、過去の自分との比較を通じた改善が可能になったことで、特に新人育成に効果を上げている。導入後わずか数週間で新卒メンバーが初受注を達成した事例も生まれた。また、商談ログや競合情報が一元管理されることで、担当者が交代しても顧客対応の品質を維持できるようになった。
開発チームも、顧客の一次情報を直接活用できるようになったため、プロダクト改善のスピードが向上した。また、上司からのフィードバックに加えてAIによる客観的な分析が加わったことで、チーム内での建設的な対話が促進され、心理的安全性が高まる傾向も見られている。
同本部長の髙木雅史氏は、Efficによって商談の一次情報が部門を越えて可視化され、開発チームと近い距離で連携できる体制が整ったと話す。成果を数字だけでなく改善への取り組み姿勢で評価できる環境が生まれ、メンバーが安心して挑戦できるようになっている。
また、「営業はメーカーのものづくりの最前線にいる存在」とし、顧客との対話を通じて得られる情報が、プロダクトを良くしていくための仮説検証の場になると説明する。「Efficをきっかけに、営業組織を開発や顧客と価値を共創するラボのような存在へ進化させていきたい」とコメントしている。