日清紡マイクロデバイスは、Atlas Directionの遠隔支援システム「Atlas Remote」を導入し、半導体を製造する国内・海外の3工場をスマートグラスでつないでいる。海外工場の作業者の目線の映像と音声を国内に送り、テスト工程の情報共有や現地スタッフの教育、試作品の確認を国内から行う。月1~2人が海外工場へ出向いていた出張の回数を減らした。10月30日、Atlas Directionのグループ会社であるRTCテックソリューションズが、日清紡マイクロデバイスの導入事例の公開を発表した。
日清紡マイクロデバイスは、新日本無線とリコー電子デバイスの統合により2022年に発足したアナログ半導体メーカーだ。オペアンプや電源ICなどの電子デバイス製品と、衛星通信やレーダーに使われるマイクロ波製品を手がける。Atlas Remoteを導入したテスト技術部は、出荷前に半導体の品質を電気的に確かめるテスト工程の技術を担っている。
半導体の量産が海外工場に広がる一方、テストの技術やノウハウは国内に蓄積されている。これまで海外工場の現地スタッフとのやりとりは電話などの音声に限られ、言葉の違いもあって的確な作業指示を出しにくかった。テスト工程では装置の操作や治具の調整に両手を使うため、手元の端末でカメラを構え続けることもできない。そのため技術指導や試作品の確認のたびに、国内から月1~2人の技術者が海外工場へ出張しており、移動時間や工数、費用が恒常的な負担になっていた。
導入後は、海外工場の作業者がスマートグラスを装着し、目線の映像と音声をリアルタイムで国内に送る。国内の技術者は作業者が見ているものと同じ映像を見ながら、音声で指示を返す。装置のどの箇所を指しているかを映像で共有できるため、言語が異なる相手ともやりとりしやすくなった。作業者は両手が空くため、装置の操作を止めずに映像を送り続けられる。
テスト工程の情報共有に加え、現地スタッフの教育では国内の技術者が映像越しに手順や着眼点を伝え、試作品の確認では海外工場にある実物をその場で確かめている。同社は作業効率と生産性が向上したとしており、海外出張の回数を減らしたことで移動の交通費や時間も軽減できている。出張が減った分、限られた技術者の時間を国内の業務に充てられる。
Atlas Remoteは、スマートグラスやスマートフォン、タブレット、外部カメラを使うオンライン遠隔支援システムだ。WebRTC技術による低遅延・高画質のビデオ通話に加え、相手の映像上を直接指し示すポインター、静止画への書き込み、作業記録やマニュアル作成に使える録画などの機能を備える。指示する側はPCのブラウザで利用できる。