全日空商事、グループ共通基盤をAzureに移行 ソフトクリエイトの一括支援で運用負荷軽減

2025年11月4日22:10|ニュースCaseHUB.News編集部
x
hatebu

 全日空商事は、グループ共通基盤システムの老朽化や運用負荷の増大といった課題を解決するため、長年利用してきたエイトレッドのワークフローシステム「AgileWorks」をバージョンアップし、基盤を「Microsoft Azure」に移行した。11月4日、プロジェクトを支援したソフトクリエイトが発表した。データ連携基盤にはセゾンテクノロジーの「DataSpider」を採用。今回の刷新により、グループ全体の業務標準化とガバナンス強化を進めるとともに、運用負荷の大幅な軽減を実現したという。

 全日空商事グループは、航空事業を基盤に商事、流通など多岐にわたるビジネスを展開し、9社2000名を超える体制で事業を推進している。同社は2015年、グループ横断でのガバナンス維持と業務合理化を目的に、ワークフローシステムのAgileWorksと人事システムを中核とした「共通基盤システム」の運用を開始した。

 しかし、運用開始から約10年が経過し、一部システムのサポート終了が目前に迫るなど、リプレースが避けられなくなった。さらに、システムの運用を担う既存ベンダーへの不満も蓄積していた。保守更新の連絡が直前に来る、障害時に連絡が取れないといった事態が頻発していたほか、承認フローの再設定に数カ月を要していたという。

 こうした課題を抜本的に解決するため、同社は刷新に向けて新たなパートナー探しを決断。当初は世の中のトレンドに合わせ、ワークフローと人事システムの両方をSaaS型へ移行することを検討していた。しかし、両システムの同時リプレースは、グループ各社の管理者の負担が大きく、コスト面でもTCOが必ずしも安価にならないという懸念があった。

 そこで同社は方針を見直し、既存資産であるAgileWorksをバージョンアップで継続利用しつつ、基盤を従来のプライベートクラウドからAzureに移行するというソフトクリエイトの提案を採用。もともとワークフローのシステム自体には不満はなく、ベンダーの対応が課題だったため、全社員が長年慣れ親しんだUIを変えずに済むメリットは大きかった。また、Azureへの移行と運用管理をソフトクリエイトに一括して任せることで運用負荷を軽減できる点も同社のニーズと合致した。

 刷新プロジェクトは2022年9月に正式スタートしたが、その前に約1年間の「企画フェーズ」を設け、リプレースの目的や思想を綿密に検討した。AgileWorksはバージョンアップであったため要件定義の工数は少なかったが、一方でシステム間をつなぐデータ連携部分はスクラッチ開発だったため、仕様が不明確な部分があった。システム連携を拡大するたびに開発が発生し、大きな負担となるリスクがあったため、ソフトクリエイトの提案でDataSpiderへの刷新も決定。柔軟な接続性やデータの可視化・効率化に加え、ソフトクリエイト社内に精通したエンジニアがいることも導入の後押しとなった。

 共通基盤システムの刷新後、業務フローの透明性と効率性が向上したほか、稟議や申請のペーパーレス化が進み、決裁までのリードタイムも短縮された。また、人事データの一元管理により、出向社員の勤怠入力が簡素化されるなど、データ活用の幅も広がったという。

 運用負荷の軽減効果も大きい。複数ベンダーに分かれていた問い合わせ窓口がソフトクリエイトに一本化され、契約更新や障害対応にかかる労力が大幅に削減された。従来はメーカーごとに異なっていた契約更新時期も、ソフトクリエイトが各社と交渉して統一。管理しやすくなったとしている。

 データ連携基盤は、DataSpiderへの置き換えにより仕様が不明確だった部分が解消され、拡張性のある仕組みに刷新された。新基盤のリリース後、各事業部から新規帳票作成の依頼が殺到した際も、ソフトクリエイトが追加リソースを確保し、迅速かつ的確に対応できる体制を整備。現場の満足度は大きく向上したという。

 数年後には、今回刷新した共通基盤と連携するシステムの更新があり、使い勝手や機能をさらに向上させるべく検討を進める。AIを活用した業務効率化なども視野に入れる。

ニュースリリース