上智学院、遠隔地バックアップでデータ保護強化 ランサムウェア対策やBCPを推進

2026年5月21日23:24|ニュースCaseHUB.News編集部
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 学校法人上智学院は、働き方の柔軟性向上や遠隔地バックアップによる業務上重要なデータの保護を目的に、クラウドストレージサービス「Wasabi Hot Cloud Storage」を採用した。5月21日、Wasabi Technologiesが発表した。50数テラバイトのデータを移行し、バックアップおよびディザスタリカバリ(DR)計画を抜本的に見直した。広域大災害やランサムウェア攻撃に備え、データ保護体制の最新化と事業継続性の確保を図る。

 上智学院が運営する上智大学は1913年に創立された日本でも有数の歴史を誇る大学だ。同大学では、信頼性の高いデータ保護戦略の導入が喫親の課題となっていた。特に年々深刻化するランサムウェア攻撃は、いつ狙われてもおかしくない状況であり、遠隔地バックアップの実現は常に課題として認識されていた。職員環境全体を刷新するプロジェクトが立ち上がったことを契機に、セキュリティ強化策としてデータ保護体制の刷新を決めた。

 採用にあたっては、データの下り転送料が発生しない、透明性が高く予測可能な料金体系を評価した。予算が固定されている教育機関にとって、コストの見通しが立てやすい点は重要な要素となった。全体プロジェクトの中から予算を割くため、一括契約により5年分のコストをあらかじめ把握しきれる価格帯であったこと、そして予算内に収まる唯一のクラウドストレージだったことが採用の決め手となった。

 機能面では、データの変更や削除を防ぐオブジェクトロック機能が評価された。これにより、上書きや削除が不可能なイミュータブル(不変)バックアップを作成し、バックアップデータを不変化することで、ランサムウェアによるデータ暗号化の被害を確実に防止する体制を整えた。データはWasabiの遠隔拠点に移され、ファイルが不正使用される可能性の低減にもつながる。また、遠隔地バックアップの実現により、広域大災害やサイバー攻撃などのリスクを排除し、万が一の際のデータ復旧速度を向上できる点も評価の対象となった。

 システム構成としては、データ移行管理にVeeam Backup & Replicationソフトウェアを採用し、データの差分を検知して重複転送を回避している。学内ネットワークのファイルサーバーに保管されていたバックアップデータは、学術情報ネットワーク(SINET)を通じて遠隔拠点のクラウドストレージへ安全かつ高速に転送される。導入後は、ファイルサーバーのバックアップにかかる時間は20分で、仮にフルデータを復旧することになっても1週間もかからない目途が立っている。

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システム構成図

 上智学院学術情報局情報システム室主幹の松田浩司氏は、ランサムウェア攻撃にはいつ狙われてもおかしくない状況で、遠隔地バックアップの実現は常に課題だったとした上で、職員環境全体を刷新するプロジェクトはまさに絶好のタイミングであり、セキュリティ強化策としてぜひ叶えたいと考えていたと話している。

 また、同室事務長の青砥光一氏は、一刻も早く実現したかったことがついに形になったと振り返る。これまではバックアップを取っていても本当に大丈夫かと心にかかっていたが、遠隔地バックアップが行えるようになったことで、ファイルサーバーに攻撃が仕掛けられてもバックアップデータから復旧できる道筋ができ、リスクを排除できたとして、職員の精神的不安はかなり和らいだと述べている。

ニュースリリース