ながぬまは、年間約300件にのぼる社内不良の削減と品質標準化を目的に、製造業データプラットフォーム「CADDi」を採用した。9月19日、同製品を提供するキャディが発表した。属人化していた製造体制を改善し、業務効率を大幅に向上させた。今後は、CADDiを現場主導で活用することで、技術者が働きがいを感じられる環境づくりをさらに進める。
秋田県を拠点とするながぬまは、航空機部品や半導体生産設備を手掛ける製造業だ。2015年まで、同社の指示書はすべて手書きで、過去の記録が属人化しているという情報管理上の大きな課題を抱えていた。また、スタッフの経験や記憶に頼った製造体制のため、品質にばらつきが生じ、年間で約300件もの社内不良が発生していた。
こうした課題を解決するため、同社はDX投資を積極的に推し進めていた。しかし、既存のソフトウェアではファイル名などの手入力作業が残り、根本的な工数削減には至っていなかった。そこで同社は、情報の一元管理と業務効率の向上を目指し、CADDiの導入を決めた。
CADDiの導入後、受注データの入力が自動化されたことで、手作業による工数が大幅に削減され、業務効率が向上した。さらに、品質の標準化と不良件数の削減にも大きく貢献した。同社はCADDi上で図面と完成品の写真を紐づける独自の運用を徹底。経験の浅いスタッフでもタブレットで「正解」を同時に確認できる体制を構築したことで、品質のばらつきが抑えられ、社内不良が大幅に削減された。
CADDiの導入は、以前からのDX投資で培われた企業文化と相まって、より大きなシナジーを生み出した。今では、経営者主導ではなく現場主導で改善が進む文化へと加速している。
ながぬまの長沼彰代表取締役は、「『使わないだろうな』と思っていたスタッフが一番熱心にやってくれているのが面白い。やはりトップダウンでは面白くない。現場から『もっとこうしたい』という声が出てくるのが一番だ」とコメント。スタッフが自身の腕に自信を持ってものづくりに携われる技術者集団を目指し、地域で一番平均年収の高い中小企業になることが目標だと話している。