ダットジャパン、コールセンター基盤をクラウドで刷新 通信コスト削減と運用効率向上

2025年12月25日15:35|ニュースCaseHUB.News編集部
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 ダットジャパンは、国内大手の交通関連企業から受託するコールセンター業務において、クラウド型コンタクトセンタープラットフォーム「TramOneCloud CXi」を採用した。12月25日、同ソリューションを提供するトラムシステムや導入を支援したナイスジャパン、丸紅情報システムズらが発表した。従来のオンプレミス環境から移行することで、初期投資の抑制と運用管理の効率化を図る。今後はAI活用による業務の高度化も進める考えだ。

 ダットジャパンは1986年設立のソフトウェア開発およびBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)企業だ。建設や医療、鉄道など幅広い業界向けにバックオフィス支援を展開しており、なかでも交通関連企業のコールセンター業務は社会インフラを支える重要拠点として位置づけている。

 同業務では従来、オンプレミスのPBX(構内交換機)を運用していたが、システムのサポート終了が迫っていた。交通インフラを支える業務特性上、高い安定性と信頼性、厳格なセキュリティ基準を維持しながら、サービスを停止させることなくシームレスに新システムへ移行する必要があったという。

 複数の製品を比較検討した結果、NiCE(ナイス)の技術基盤「CXone Mpower」を活用したTramOneCloud CXiの採用を決めた。選定にあたっては、クラウド化による初期投資の低減に加え、繁忙期と閑散期に合わせて回線数を柔軟に変更できる拡張性を評価した。また、将来的なオムニチャネル対応やAI活用の可能性、機能とコストのバランスの良さも決め手になった。ダットジャパン CSソリューション事業部部長の菊田氏は、従来業務を機能不足なくそのままクラウドへ移行できる点を最も重視したと話している。

 移行プロジェクトでは、音声パケットの分離によるセキュリティ確保や自社開発CRM(顧客関係管理システム)との連携、既存電話番号の継続利用といった技術的要件があったが、ナイスジャパン、トラムシステム、丸紅情報システムズの3社が連携して支援。タイトなスケジュールながら大きなトラブルなく切り替えを完了させた。CSソリューション事業部の清野氏は、3社の技術サポートによりセキュアな環境構築とスムーズな移行が可能になったとしている。

 移行後の効果として、大規模な設備投資を回避できただけでなく、通信コストも削減された。Web管理画面の活用により、管理者が外出先からでも設定変更や稼働状況の確認ができるようになり、運用効率が向上。物理的なサーバーに縛られないクラウド基盤となったことで、BCP(事業継続計画)対応も強化された。現場のオペレーターも数日の研修で操作に習熟し、導入翌月にはパフォーマンスの向上が確認できた。

 今後は、今回のクラウド移行を起点としてさらなる業務改善に取り組む方針だ。AIによる会話内容の自動分析やFAQの自動表示、紙業務のデジタル化などを検討している。菊田氏は、クラウドの強みをさらに活かし、委託元企業へ費用対効果を明確に示せるような提案を行っていきたいと語っている。

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