DMM Boostは、LINEでの問い合わせ対応にAIを取り入れ、Salesforceの顧客情報と一元管理する体制を整えた。イグネスがSalesforceのAgentExchangeで提供するLINE公式アカウント拡張アプリ「Igness LAMP」を活用し、問い合わせをAI、有人対応、フォームへ振り分ける。定型的な問い合わせをAIが担うことで、一次対応で有人対応が必要な件数は導入前の半分ほどに減った。問い合わせ対応を委託するBPOチームからのエスカレーション率は、プロダクト別に最大50%削減した。イグネスが9月29日に発表した。
DMM Boostは、LINEでの顧客とのコミュニケーションを効率化する「DMMチャットブースト」など、3つのSaaSプロダクトを展開している。問い合わせの主なチャネルはLINEで、顧客管理にはSalesforceを使ってきた。ただ、問い合わせ管理ツールとSalesforceの顧客情報が連携しておらず、問い合わせのたびにSalesforceを開いて顧客を照合する手間がかかっていた。定型的な問い合わせも含めてすべて人手で対応していたため、土日を含む大量の問い合わせに回答が追いつかず、顧客を待たせることもあった。
転機は、全社的なコスト最適化の方針でツール費用の削減が求められたことだった。同社は、費用を削減できること、Salesforceとの顧客情報の一元管理の土台を整えられること、蓄積した情報の分析までワンストップで行えることの3点を条件に複数のツールを比較し、Igness LAMPを選んだ。顧客管理のデータと問い合わせのデータが分かれていて分析ができなかったため、業種や契約期間ごとの問い合わせの推移を改善に生かす狙いもあった。
運用は、問い合わせ対応を、AI対応、有人対応、ルールベースのフォーム対応の3つに切り分けて設計した。定型的で個別判断が少ないものはAI、個別調査や感情面のフォローが必要なものは有人が対応する。やりたいことや必要な手続きが明確な場合は、フォームから直接申し込める導線を用意した。まずAIで気軽に問い合わせてもらうことを優先し、必要に応じてあらかじめ設定したフローで有人へ切り替える。Salesforceのケース画面では、「AI対応中」のステータスを通じ、AIが対応している問い合わせをリアルタイムに管理できるようにした。
導入後は、SalesforceとLINEの問い合わせ内容が一つのプラットフォーム上で紐づき、契約情報を開いて照合する作業がなくなった。有人対応が必要な問い合わせは半分ほどに減り、オペレーターは複雑な案件に専念できる。6月ごろに設定したフローが定着して以降、BPOチームからのエスカレーション率は、プロダクトによって当初比で最大50%改善し、改善幅が小さいプロダクトでも30%改善した。AIが答える部分は回答が均質になり、「前回聞いた内容と違う」との指摘はほとんどなくなったという。AIが対応できない問い合わせはFAQが存在しない領域だと分かり、顧客向けの利用ガイドの拡充にもつなげた。
同社は、会話ログを分類・分析するダッシュボードを作成中だ。有人が回答した件数や割合、改善余地をカテゴリー別に示し、ボトルネックの特定やオペレーション改善の議論に生かす考えだ。
DMM Boostの小澤智則社長は「以前は問い合わせ管理ツールとSalesforceの顧客情報が連携しておらず、定型的な問い合わせも含めてすべてを人手で対応する労働集約的な運用が長年の課題だった。導入後は、BPOチームからのエスカレーション率を最大50%改善できたほか、顧客をお待たせする時間も大きく短縮できている。今後も現場で活用し、価値を積み上げていきたい」と話している。