ヤマハは、グローバル物流の意思決定の迅速化と業務効率化を目的に、全社データ活用プラットフォーム「Domo」を採用した。1月13日、Domoを提供するドーモが発表した。物流に関連する膨大なデータを一元管理する「物流情報基盤」を構築したことで、年間200時間の集計工数を削減したほか、輸送リスクの早期発見やコスト最適化につなげている。
ヤマハは世界最大級の総合音楽メーカーとして、楽器や音響機材の製造・販売をグローバルに展開している。同社の物流システム部は、海外40以上の拠点をつなぐ物流コントロールタワーとしての役割を担うが、近年の地政学的リスクや関税変動など、サプライチェーンの不確実性への対応が課題となっていた。的確な意思決定を行うため、世界各地に散在する物流データを一元的に把握できる基盤の構築が急務だった。
Domoの採用にあたっては、ITの専門知識を持つエンジニアがいなくても実務担当者が使いこなせる操作性を高く評価した。ノーコードでデータの収集から可視化、共有まで完結できる点や、学習コンテンツが充実していることも選定の決め手となった。同社ではすでに情報システム部が意思決定プロセスの変革にDomoを活用していた実績もあり、2023年6月に物流システム部への導入を決定した。
物流情報基盤の構築により、関税額や輸送コスト、在庫量、倉庫費などのデータがDomoのダッシュボード上に集約された。これにより、従来は担当者ごとに異なっていたデータの定義や集計方法が統一・自動化され、データ品質が向上。手作業による集計工数を大幅に削減することに成功した。
具体的な活用成果として、海上輸送データのリスク管理が挙げられる。紛争や天候による影響をリアルタイムに近い形で把握できるようになり、米国の関税引き上げ時には、蓄積された情報を基に出荷タイミングを最適化することで影響を最小限に抑えた。また、各拠点の在庫量や入出庫予測を可視化したことで、数カ月先の倉庫スペースの状況を把握し、需要変動に柔軟に対応できる体制を整えた。
さらに、物流事業者の評価業務も改善された。年に一度手作業で行っていた輸送実績の集計を自動化したことで、リードタイムのばらつきなどを定量的に把握し、透明性の高いパートナー評価が可能になった。海上輸送においては、コンテナの積載率を可視化することで、実態に基づいたコスト削減策の検討にも役立てている。
今後は、物流システム部が管理するデータを、マーケティングや営業、生産などの他部門とも共有していく方針だ。ヤマハ物流システム部部長の中川雅仁氏は、調達や生産から販売までを含むグローバルサプライチェーン全体の最適化をさらに加速させていきたいとしている。