東芝、カミナシ導入で製造現場のDX推進 約150台の設備情報を集約

2025年9月2日19:00|ニュースCaseHUB.News編集部
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 東芝は、製造現場の設備保全業務をデジタル化するため、「カミナシ 設備保全」を導入した。9月2日、カミナシが発表した。紙やExcelで管理されていた設備情報を一元化し、業務の属人化解消と生産コスト増大のリスク軽減を目指す。

 東芝は2018年から全社的なデジタルトランスフォーメーション(DX)を強化し、バリューチェーン全体の情報を統合して業務効率化や経営判断の迅速化を図っている。その一環として、エネルギーや社会インフラ事業を担う府中事業所のスイッチギヤ部では、紙やExcelで管理されていた設備保全情報の分散や、業務の属人化といった課題に直面していた。特に、設備の故障や停止が発生した際、過去のデータが不十分なために迅速な対応が難しく、生産コストの増大や長期的な稼働停止のリスクが顕在化していた。

 こうした背景から、同部は現場が主体となって業務改善を進める必要性を感じ、カミナシ 設備保全の導入を決めた。導入にあたり、設備情報が適切に管理できるシステムが必要だとの意識が高まっていた。

 スイッチギヤ部が保有する約150台の設備に関する記録をカミナシ 設備保全で集約し、社用スマートフォンやタブレット端末から容易に記録できる環境を整備した。これにより、記録業務の効率化だけでなく、写真や動画を活用した正確な状態把握が可能になり、機械停止によるロスが最小限に抑えられると期待している。

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現場でのカミナシの利用イメージ

 また、過去のメンテナンス履歴や異常報告がシステムに蓄積されることで、設備トラブル発生時の対応が迅速化し、異動などで担当者が変更になった際の情報引き継ぎもスムーズになった。設備に関する定量的なデータを一元管理できるようになり、全従業員が参加する「総合的生産保全(TPM)」の実現にも貢献すると見込んでいる。

 同部でDX推進を担当する宮本凌氏は、導入後の手応えについて「工場運営において、人の次に大事なものが設備だ。設備が止まるとお客様に迷惑がかかり、生産性全体に影響がある」と述べ、今後は「カミナシ 設備保全」を活用して定量的な成果を可視化していきたい考えを示した。さらに、ツールが継続的にアップデートされる点や、担当者からの要望に迅速に対応してくれる点も評価している。

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