清和中央ホールディングス、ERP刷新でデータ活用を加速

2025年9月2日18:58|ニュースCaseHUB.News編集部
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 清和中央ホールディングスは、基幹システムの中核に国産ERP「GRANDIT」を採用した。9月2日、同製品を提供するインフォコムが発表した。旧来のシステムが抱えていた非効率な業務を刷新し、グループ全体のデータ活用と迅速な意思決定を目指す。

 自動車・建設・エネルギーといった基幹産業を支える鉄鋼業界は、原材料価格の高騰や人手不足といった複合的な課題に直面している。鉄鋼専門商社として事業を営む清和中央ホールディングスは、20年以上にわたり自社開発した汎用機システムを運用してきたが、短期的なデータ保存や業務の属人化、大量の帳票出力といった非効率な状況が課題となっていた。経営陣はこうした状況を打開するため、単なるシステム更新ではなく、グループ全体の業務変革を目的とした「経営プロジェクト」として基幹システムの刷新を決断した。

 新しいシステムの選定では、データを長期的に蓄積し、必要な時に柔軟に出力できる仕組みが求められた。また、グループ全体の経理業務は標準化しつつ、各事業会社のフロント業務は柔軟に最適化できる点も重視された。これらの要件を満たしていたことに加え、鉄鋼業界に精通した導入ベンダーの存在や予算面も考慮し、GRANDITの採用を決めた。

 システム刷新プロジェクトは、GRANDITコンソーシアムのプライムパートナーであるベニックソリューションが担当し、清和中央ホールディングスを含めたグループ5社で2022年1月に本稼働を迎えた。販売系と会計系のシステムは、1つのデータベースにデータを統合してリアルタイム連携を実現した。これにより、これまで発生していた再入力やチェックの手間が大幅に削減された。

 導入後の効果として、紙の印刷や再入力といった手作業の削減が挙げられている。旧システムでは、総勘定元帳や勘定科目明細を何千枚も印刷していたが、今ではその9割近くが削減された。請求業務の電子化も進み、印刷や封入作業も不要になった。

 清和中央ホールディングスの代表取締役社長、阪上正章氏は「GRANDITを中核とした新たな基幹システムの導入で、業務効率化に加え、各部門やグループ会社が自ら必要なデータを即座に取得できる環境が整い、意思決定のスピードも飛躍的に向上している」とコメントしている。また、情報システム部情報システム課の松井康之氏は「情報システム部門を介さずに、経理部門の担当者が自分でデータを出力して分析に活用できるのは、大きなインパクトがある。現場の業務改善につながる実感を持ってもらえるはずだ」と話している。今後は、RPAやAIといった先端技術とGRANDITを組み合わせることで、業務改革をさらに加速させていく。

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