東洋製罐GHD、Databricks導入でデータ分析を「未来予測」へシフト

2025年12月3日00:12|ニュースCaseHUB.News編集部
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 東洋製罐グループホールディングス(東洋製罐GHD)が、データインテリジェントプラットフォーム「Databricks」を導入した。12月2日、Databricksの導入を支援した双日テックイノベーション(STech I)が発表した。本導入により、東洋製罐GHDは経営判断の高度化とスピード化、AIエージェントによる業務負担軽減・コスト削減を推進し、「過去の分析から未来の予測」へとシフトしたデータドリブン経営の実現を加速する。

 幅広い産業分野に容器・包装を提供する東洋製罐GHDは、環境配慮型製品の開発やCO2排出削減、プラスチック使用抑制などの取り組みを進めている。同社はデジタル化社会におけるグループのあるべき姿として「Group Digital Vision 2030」を掲げ、データ活用の高度化を重要な戦略テーマの一つに位置づけていた。

 しかし、従来のBIツールでは、リアルタイム性や多角的な分析に限界があり、基幹システムに蓄積されたデータを業務や経営判断に十分に活用しきれていないという課題があった。現場では勘と経験に依存する場面も少なくなかったため、環境配慮型製品の開発加速に向け、高度なデータ分析基盤とAI活用の必要性が高まっていた。そこで、グループ横断でデータを統合・活用できる次世代プラットフォームとして、Databricksの採用を決断した。

 採用にあたっては、まず傘下のメビウスパッケージングでトライアルを実施。製品原価の可視化、ヘルプデスク対応の効率化、設計書レビューの工数削減などのテーマで有効性を検証した。

 Databricks選定理由としては、データウェアハウスとデータレイク双方の利点を兼ね備えた「データレイクハウス」を国内市場に先駆けて紹介した点や、単なる過去分析にとどまらず、未来予測を活用するデータ活用手法を提示し、同社の方向性と合致した点を評価した。

 また、STech Iは構想段階から活用のロードマップを明確化し、Databricksに精通した専門家による設計・構築支援を提供したことが、導入パートナーとして評価を得ている。AIエージェントの構築においても、対象業務内容を深く理解したうえで最適な設計を実現した点が評価された。

 Databricksによるデータレイクハウス基盤を構築したことで、経営判断に必要なデータをリアルタイムで可視化できるようになり、「過去の分析から未来の予測」へとシフトした新しいデータドリブン経営に向けた取り組みが加速している。

 また、AIエージェントの概念実証(PoC)では、業務効率化とコスト削減への一定の効果が出ることが確認された。具体的には、変動する製品原価(材料費、人件費、電気代、保管料など)のリアルタイム可視化が実現し、グループ全体のデータを統合して横断的に分析できるプラットフォームが構築された。AIエージェントの活用により、ヘルプデスク対応で30から40パーセント、設計書レビューで約30パーセントのコスト削減が見込まれており、従来業務部門が担っていたレビュー作業の一部自動化による負担軽減も期待できる見込みだ。

 東洋製罐GHD 執行役員 情報システム部長の永井恒明氏は、「デジタル化時代においては、人材育成に加えAI育成も重要であると考える」と指摘。PoCでの成功体験を踏まえ、AIとの協働を具体化し、データ連携を強化することで、データドリブン経営を加速させる方針を示した。「STech Iとの連携により、AI活用の好循環を創出し、常に進化し続ける企業を目指す」としている。

ニュースリリース