ジュピターコーポレーションは老朽化した基幹システムを刷新し、国産ERP「GRANDIT」を導入した。2021年11月に本番稼働を開始しており、ガバナンス強化、業務プロセスの一元化、システムの利便性向上、経営指標のスピーディーかつ高精度なレポーティングなどを実現したという。GRANDITの開発・提供を手がけるコンソーシアムの運営元であるGRANDITと、コンソーシアム参加企業で今回の導入プロジェクトを支援した双日テックイノベーションが、2月19日に発表した。
ジュピターコーポレーションは宇宙、航空、船舶、車両などの装置や部品を扱う商社で、航空機用の地上支援装置や航空宇宙関連の搭載電子機器などのメーカーとしても事業を展開している。同社の旧基幹システムは、大手商社がスクラッチで開発したシステムを、輸入販売業務に合わせて改修したものだったが、会計プログラムと生産管理プログラムが実装されていなかった。会計については別途ERPを導入していたが、販売と会計が連動せず、データの二重管理が課題になっていた。また、ソフトウェア開発言語の老朽化とメーカーサポートの完全終了により、運用の継続が困難になっていたという。
これら課題を解決するために、販売と会計が連動するERPに基幹システムを刷新するとともに業務の標準化を進め、ビジネス環境の変化に対応できる経営基盤の構築を目指した。複数のERPを比較検討し、双日テックイノベーションが提案するGRANDITを採用。コンソーシアム形式で開発、更新を続けており、サポート終了の懸念が少ないと評価したほか、見積関連機能を備えていること、同社の取引に必須の「航空機業界EDI」など大規模なEDIシステムとの連携実績が豊富だったことも決め手になった。
GRANDITの稼働により、販売と会計の業務プロセスが同一システム上で一元化され、矛盾が生じるデータは登録できなくなったことから、データの信頼性を強化できたとしている。また、ワークフローによる統制強化も実現している。さらに、国内と米国支店間でやり取りするデータの生成と送付がGRANDIT内で実現したことで、データ連携担当者の負担が大幅に軽減した。データベースが一元化されたことで、経営指標報告のスピードと精度も向上したという。
同社IT戦略室担当部長の石川博基氏は「当社にとって初めての本格的なERP導入だったが、GRANDITはグローバル仕様の製品にはない国内のビジネス慣習を深く考慮したERPで、ベストな選択だった」とコメント。今後は、独立した生産管理システムを利用している工場部門へのGRANDIT導入も検討する。