オタフクHD、基幹刷新で調達業務を半減 AI活用見据え「クリーンコア」確立

2026年3月5日22:21|ニュースCaseHUB.News編集部
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 オタフクホールディングスは、グループ6社の成長と拡張を支えるDX基盤として、SAPのクラウドERP「SAP S/4HANA Cloud」を採用した。3月5日、システムの刷新を支援したテクノスジャパンが発表した。従来のSAP ERP 6.0からリビルド(再構築)したことで、アドオンを約50%削減する「クリーンコア(Clean Core)化」を達成。調達プロセスにおける発注業務の50%効率化や在庫最適化を実現しており、今後は新基盤を土台にAI活用や海外展開を加速させる。

 オタフクグループは、お好み焼ソースなどの調味料を中心に「鉄板粉もの文化」のグローバル展開を進めている。しかし、2004年から運用してきた従来の基幹システムは、長年の運用によるアドオンの累積で複雑化しており、業務とシステムの間に乖離が生じていた。また、本社と工場でシステム環境(クライアント)が分断されていたため、マスタの二重管理や不要な伝票計上が発生するなど、グループ全体のデータ活用や将来の事業拡張に向けた足かせとなっていた。

 こうした背景から、同社は「未来の事業を止めない」強固な経営基盤の構築を目指し、システムの刷新を決断した。採用にあたっては、長年のSAP運用で蓄積した知見を継承しつつ、刷新時のリスクを最小限に抑えられる点や、将来の海外展開時に会計モジュールを共通利用できる拡張性を評価した。

 プロジェクトでは、オタフクソースの本社と日光工場のクライアント統合を含む、グループ6社の基幹システムを刷新した。テクノスジャパンの支援のもと、290本あった既存アドオンを精査して再設計した結果、アドオン本数を約50%削減。SAPの標準機能を最大限に活用し、保守性と拡張性を高めたクリーンコアな基盤を確立した。

 品質確保のために1000を超えるテストパターンを策定し、複数回の移行リハーサルを徹底したことも特徴だ。入念な準備により、2025年5月の本番稼働では業務への影響を一切出すことなく、円滑な移行を実現した。

 導入効果として、特に購買・調達領域での生産性向上がある。マテリアル・リクイアメンツ・プランニング(MRP:所要量計算)の本格運用を開始したことで、手作業だった発注判断を集約し、購買発注業務の作業時間を約50%削減した。さらに、MRPエリアの設定による在庫引当の最適化により、日々の在庫確認や問い合わせ対応が減少し、年間で約200時間の作業削減につながっている。

 管理会計面では、品目元帳による実際原価計算の運用基盤を整備し、原価管理の高度化に向けた土台を整えた。SCM領域においても、受注伝票に紐づく配送ロジックの改善により、倉庫側での確認作業の削減や配送ルートの効率化が進み、業務のスピードと正確性が向上している。

 オタフクホールディングスでプロジェクトを担当した下平邦夫氏は、最優先事項だった事業継続性を守り、業務影響ゼロで安定稼働できたことを大きな成果だと述べている。クリーンコア化によって将来の拡張や保守のしやすさが高まったとし、今後は新基盤を活用してMRPの対象拡大やデータ活用をさらに進め、グループの成長を加速させたい考えだ。

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