umikaと都市再生機構(UR都市機構)は、広島県福山市の福山駅前エリアにおけるまちづくりプロジェクトにおいて、オールインワンAI編集アシスタント「StoryHub」を採用した。3月5日、StoryHubが発表した。地域の関係者約50名への個別ヒアリングに伴う業務負担を50%以上削減し、効率的な情報の収集と整理を実現した。蓄積したデータを基に、客観的な事実に基づいた合意形成や地域の文脈の継承につなげる。
福山市の福山駅前エリアでは、UR都市機構とumikaが連携し、地域のまちづくり支援を推進している。まちづくりにおいては地域住民や地権者の声を聞くプロセスが不可欠だが、従来の定例会のような集団の場では、個人の本音や細かなニーズを拾い上げることが困難だった。
一方で、質の高い情報を得られる個別ヒアリングは、録音の聞き直しや要約作業に膨大な時間を要するという課題があった。1時間のヒアリングに対し、整理作業を含めると合計7時間ほどの業務コストが発生しており、50名規模の関係者全員から話を聞くことは現実的に困難な状況にあった。また、担当者の定期的な異動により、住民との信頼関係や対話の中で蓄積された文脈が引き継がれにくいという組織特有の課題も抱えていた。
こうした課題を解決するため、両組織はStoryHubを導入し、約2か月間で50名規模の個別ヒアリングを実施した。StoryHubの採用にあたっては、個別の声を拾い上げつつ生産性を高められる点や、他のAIツールと比較して話をまとめる精度が高い点を評価した。
導入の結果、ヒアリングから情報の整理までにかかる工程を、1件あたり従来の7時間から約3時間へと短縮した。事前に質問項目を設計してAIを活用する体制を整えたことで、ヒアリングに不慣れな若手スタッフでも一定以上の品質で情報を収集・整理できるようになった。また、AIによる効率化で担当者が対話そのものに集中できるようになり、雑談の中から地域固有のエピソードや行政方針と住民ニーズのギャップなど、定量データには表れない地域の「手触り」を抽出することに成功している。
50名分の意見を同じ粒度で並列に可視化したことで、声の大きい人の意見に左右されない、客観的な事実に基づいた合意形成が可能になった。テキストデータとして情報を蓄積したことで、担当者が変わっても地域の文脈を次世代へつなぐ基盤も整った。
umika代表取締役の谷田恭平氏は、「AIは効率化のためだけでなく、今までコストが合わずにできなかった『全員の話を聞く』という行為を可能にするために使うべきだ。StoryHubのようなツールで情報整理や合意形成のスピードを上げ、まちづくりのサイクルを速めることで、期待値のズレを埋めていきたい」と述べている。
UR都市機構西日本支社の山根大尭氏は、「記録や整理はAIに任せ、人間は対話や関係づくりに集中するという役割分担は、自治体や支援団体が取り組む際の一助になる。今後もAIを活用して『聴く力』を強化し、より実態に即したまちづくりにつなげていきたい」としている。
今後は、集まった膨大なテキストデータを再度StoryHubで解析し、共通する課題や認識を抽出して街のブランディングに活用する。また、不動産情報に地域の歴史や想いといったストーリーを添えて継承していく仕組みづくりも検討していく。