富士フイルムホールディングス(富士フイルムHD)は、海外子会社を含むグループ全体の稟議・汎用ワークフロー基盤として、住友電工情報システムの電子承認・電子決裁システム「楽々WorkflowII」を採用した。1月15日、住友電工情報システムが発表した。約1000人の従業員が自らワークフローを構築する「市民開発」を推進することで、業務効率化とグループガバナンスの強化を図る。導入の結果、承認リードタイムの30%削減や、システム統合による大幅なコスト低減を実現した。
富士フイルムHDは、中期経営計画「VISION2030」の達成に向け、現場起点の変革を目指す「現場主導のDX」を掲げている。従来、グループ内の申請業務は、海外子会社を中心にEメールでの運用による不備や漏れが課題となっていた。また、国内グループ会社でも複数の汎用ワークフローシステムが並立しており、合計3600種類に及ぶ申請業務が分散していたため、保守コストの増大や業務効率の低下を招いていた。
こうした課題を解決するため、同社は国内外の10製品以上を比較検討し、楽々WorkflowIIの採用を決めた。選定にあたり、日本の商習慣に適した柔軟な承認経路設定が可能である点に加え、グローバル展開に不可欠な多言語対応やAPI連携機能を備えている点を高く評価した。また、プログラミングの専門知識がなくてもWebブラウザ上で容易にフォーム作成や設定ができる操作性が、同社の目指す市民開発を後押しする上で最適だと判断した。
導入プロジェクトでは、本社による運用の統一と並行して、現場を巻き込んだ市民開発を強力に推進した。その結果、約1000人の従業員が開発に参加し、約1年間で2800種類の汎用ワークフローを構築。そのうち2500種類は現場のユーザー自身が作成したという。現在、この仕組みは稟議・汎用ワークフローシステム「FAST」として、海外子会社を含むグループ約270社、72000名以上が利用するガバナンス基盤となっている。
導入効果として、並立していた4つのシステムを統合したことで、ランニングコストや保守運用の負荷を軽減した。申請プロセスの効率化により、承認までのリードタイムは従来比で約30%短縮され、迅速な意思決定が可能になった。さらに、勤怠管理やプロジェクト管理など20以上の外部システムとAPI連携させることで、業務全体のシームレスな運用を実現している。
今後は、個人情報保護に関する各国の法制度や商習慣の違いを考慮しながら、海外子会社への展開をさらに加速させる方針だ。富士フイルムHD経営企画部マネージャーの神山陽一氏は、海外拠点への展開において、各国の規制に合わせた業務の精査が重要になると指摘している。また、ICT戦略部マネージャーの鈴木徹氏は、国内製品のきめ細かさとグローバル製品の強みを併せ持つ同システムの活用により、さらなる業務変革に取り組む意向を示している。