東洋ガラス、IoT基盤で職人技をデジタル化 ガラスびん製造の不良防止と生産性向上

2026年1月20日23:45|ニュースCaseHUB.News編集部
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 東洋ガラスは、ガラスびん製造工程のスマート工場化を目的に、コベルコシステムが提供する「IoTプラットフォームサービス」を採用した。1月20日、コベルコシステムが発表した。データを収集・蓄積から可視化・分析まで一気通貫で担う基盤を構築し、熟練者の経験に依存していた製造工程のデジタル化を図る。製造不良の未然防止や生産性向上につなげるほか、今後はAI(人工知能)を活用した高度な異常検知体制の確立を目指す。

 東洋ガラスは1888年に創業した大手ガラス容器メーカー。ガラスびんをはじめとする関連製品の製造を手がけている。同社は生産効率の向上や労働力不足への対応、脱炭素社会の推進といった課題を解決するため、2020年からスマート工場プロジェクトを始動させた。現場の情報をデジタル化して収集・分析することで、製造プロセスの改善や作業の変革を目指している。

 ガラスびんの製造は、約1500度で溶かしたガラス玉(ゴブ)を金型に流し込んで成形するが、環境や温度の影響を受けやすく、高い歩留まりを維持することが難しい。また、製品の種類が2000以上に及び、日ごとに製造品が変わるため、ガラスの流量や温度の微調整には職人の経験や勘が不可欠だった。作業者による技能差や再現性の確保が長年の課題となっており、定量データに基づく意思決定を可能にするものづくりへの転換を検討していた。

 2022年9月にIoTプラットフォームサービスを選定、複数の候補を検討した結果、初期投資を抑えてスモールスタートが切れる点や、データ収集から可視化までを2カ月という短納期で構築できる点、Amazon Web Services(AWS)を活用して設備データを安価に長期保存できる点を評価し、IoTプラットフォームサービスを採用した。加えて、コベルコシステムが製造業のIoTシステムに精通している実績も採用の決め手となった。

 2022年11月にプロジェクトを開始し、設備データを収集・蓄積する共通データ基盤を構築した。生産計画や型替実績の情報を用いて、製品と設備データを紐付ける仕組みを確立。さらに品質不良の要因となるゴブの落下遅れを検知する独自システム「GAM(Gob Arrival Monitor)」を開発した。

 導入の効果として、ゴブの落下状態のリアルタイム可視化が可能になった。これまでは検査工程で不良が出るまで検知できなかったゴブの落下遅れを数値化し、異常を検知した際は現場オペレーターに即座に通知する。これにより、事前の調整による製品不良の未然防止が可能になり、現場の生産性向上に寄与している。また、職人の経験に依存していた調整業務を、定量データに基づいて判断できる体制を整えた。

 今後はデータの可視化・分析領域をさらに拡大し、AIを活用した異常検知や不良検出装置の自社開発を目指す。東洋ガラス生産技術部生産情報課課長の明渡俊治氏は、1本単位での計量値をAIで分析することで品質低下の原因特定を容易にし、さらなる品質向上につなげたいと考えている。

ニュースリリース