日本航空、分断されたデータ連携基盤を統合 iPaaS活用で開発の内製化を加速

2026年1月23日18:07|ニュースCaseHUB.News編集部
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 日本航空は、全社横断のデータ活用を加速させるため、Boomiのデータ連携プラットフォーム「Boomi Enterprise Platform」を採用した。1月22日、Boomiが発表した。業務領域ごとに分断・複雑化していた連携基盤を刷新し、ユーザー部門主導のローコード開発を推進することで、ビジネス環境の変化に迅速に対応できる体制を整える。データ連携の開発期間短縮や運用効率の向上を通じ、グループ全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させる狙いだ。

 日本航空は国内外で約200路線を運航する航空会社で、2025年度の経営目標達成に向けた既存事業の構造改革や、新規事業の創出を目指すDX戦略を推進している。同戦略では、人工知能(AI)やデータ活用を中核としたマーケティングの高度化や生産性向上を掲げているが、その実現には社内の多種多様なデータを迅速かつ柔軟に連携できる基盤の整備が急務となっていた。

 同社ではこれまで、約200の社内システムと約2500のインターフェースによる複雑なデータ連携が行われていた。従来は「旅客系」「運航系」「整備・貨物系」という業務領域ごとに三つの異なる基盤を運用していたが、領域をまたぐ連携の増加に伴い、基盤が多重化し複雑化する課題が生じていた。その結果、新たなインターフェースの開発負荷が増大し、ビジネスニーズへの対応遅延や、老朽化システムの改修費用の肥大化、障害発生時の原因特定に時間を要するといった問題に直面していた。

 こうした課題を解決するため、日本航空は連携基盤全体を変革する「OneBridgeプロジェクト」を立ち上げた。プロジェクトには、長年同社のクラウド化などを支援してきた野村総合研究所(NRI)がパートナーとして参画。新基盤ではシステムの重要度や特性に応じて接続方式を選択する仕組みを導入し、重要度の低い連携やファイル転送にはiPaaSを活用したセルフサービス型のローコード開発を取り入れた。

 Boomi Enterprise Platformの採用にあたっては、ローコードによる開発のしやすさと、既存のレガシーシステムからSalesforce、ServiceNowなどのSaaSまで幅広く接続できる豊富な標準コネクタを備えている点を評価した。また、国際的なセキュリティ基準に準拠した専用クラウド環境の提供や、将来的なAI活用を見据えた拡張性の高さも選定の決め手になった。

 導入プロセスでは、アジャイル開発の専門家と製品の有識者を交えたユーザー開発部隊を編成。Boomiが提供する体系化された教育プログラムを活用することで、短期間での立ち上げを実現した。基盤のアーキテクチャをシンプル化したことで、データ連携の開発期間が短縮されたほか、障害影響範囲の最小化や運用効率の向上を達成した。さらに、データ量に左右されない明確なライセンス体系により、投資効果の把握も容易になったとしている。

 今後は、AIを活用した開発プロセスの改革を本格化させる計画だ。具体的には「Boomi AI」などを活用し、ドキュメントの自動生成やデータ連携プロセスの自動提案、自然言語による社内ナレッジの検索環境などを整備し、さらなる開発の効率化を目指す。

 日本航空デジタルテクノロジー本部システムマネジメント部プラットフォーム企画グループアシスタントマネジャーの内海智大氏は、「データ連携が複雑化し、新たなビジネスニーズへ迅速に対応できないことが課題だった。基盤をBoomiで全面的に変革してシンプルにするとともに、iPaaSやローコードを活用することで、ビジネスユーザーによる開発を実現できた。今後はさらなる内製化の促進に向け、AIを活用した開発プロセスの改革を実施していく」とコメントしている。

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