宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙科学研究所(ISAS)は、科学衛星や探査機から収集したデータのアーカイブおよび外部公開に活用する「科学衛星データ処理システム」のIT基盤として、デル・テクノロジーズのストレージソリューション「Dell PowerScale」を採用した。2月9日、デル・テクノロジーズが発表した。2025年4月より本番稼働を開始しており、従来と同等の性能を維持しながらストレージ容量を2倍以上に拡大した。圧縮や重複排除機能の活用によりデータ容量を約30%削減するなど、効率的なデータ管理とコスト削減を実現し、宇宙科学研究の発展を支える基盤を構築した。
ISASは、大気外での天文観測や太陽系科学、宇宙環境利用科学といった幅広い領域の宇宙科学研究を推進している。近年の科学衛星や探査機の高解像度化と高度化に伴い、送信されるデータ量は1日あたり数GBに達するなど大規模化が進行していた。従来の環境では年々蓄積されるデータの長期保存が困難になることや、アクセス集中時のレスポンス低下が懸念されていたため、膨大なデータ量に対応する拡張性と、高負荷下でも遅延のない処理能力を兼ね備えた次世代の高速ストレージ環境が求められていた。
ハードウェアの更新を機に導入されたDell PowerScaleの選定にあたっては、事前の利用状況調査の結果を反映した。突発的な負荷の多くがリード処理であり、特定のデータにアクセスが集中する傾向が明らかになったため、アクセラレータノード「Dell PowerScale P100」を導入。一度読み込んだデータをキャッシュに蓄積することで、アクセス集中時でも迅速なレスポンスを確保し、ストレージノードへの負荷を軽減する構成とした。
また、高性能ストレージノードのみで構築するのではなく、「Dell PowerScale A3000シリーズ」とP100を階層化して組み合わせることで、コスト効果の最大化を図った。複数ノードの同時障害に耐えうるデータ保護機能を備え、万一の際も稼働を継続できる環境を整えた。
本番運用開始から半年以上が経過し、導入効果も明確になっている。重複排除機能「SmartDedupe」の活用により、実データに対して約30%の容量削減に成功した。運用面では、クォータ管理機能「SmartQuotas」を用いて各研究プロジェクトへ容量を割り当てているほか、専用管理ツール「InsightIQ」でストレージの状況を監視している。
ISAS科学衛星運用・データ利用ユニット主任研究開発員の中平聡志氏は、デル・テクノロジーズ製品の採用により、コストを抑えつつ研究所のニーズに合致したシステムを実現できたと評価している。今後はこの設備をデータのアーカイブや公開に積極的に活用するほか、生成AIの活用なども進めていく考えだ。こうした取り組みを通じて、予想もしなかったような研究成果が生まれるよう活動していくとしている。