東海旅客鉄道(JR東海)は、東海道新幹線の高架橋点検でLiberawareの屋内特化型小型ドローン「IBIS2」を試行した。CalTaの画像3D化データ管理プラットフォーム「TRANCITY」と連携し、インフラ維持管理の効率化を図る。7月28日、Liberawareが発表した。作業者の転倒や墜落といった労働災害リスクの低減や足場設置コストの削減に繋げるとともに、部署間での迅速な情報共有体制を整備する。
東海道新幹線の維持管理は、利用者の安全と安定運行を支える重要な業務である。JR東海関西支社では、橋梁やトンネルに加え、高架駅の天井裏のような人が入りにくい場所も定期的に点検してきた。しかし、こうした現場では、転倒や墜落のリスクがあり、作業負担の大きさが課題となっていた。
この課題に対して、JR東海は「IBIS2」と「TRANCITY」を組み合わせた試行に取り組んだ。IBIS2は狭所でのデータ取得に適しており、TRANCITYは取得した動画から3Dデータを生成して、変状の位置や寸法を可視化できる。鉄道構造物の専門知識を持つ社員が自ら点検に関与できる点も、導入を後押しした。
効果として大きいのは、安全性の向上である。転倒や墜落の危険がある場所での作業を減らせたことで、現場のリスクを下げることができた。さらに、無理な姿勢を強いられる点検も減り、作業員の身体的負担の軽減にもつながった。これは単なる効率化ではなく、点検業務そのものの持続性を高める効果がある。
加えて、足場の設置が不要になったことで、省力化とコスト抑制にもつながった。従来は準備や撤去に手間がかかっていたが、デジタル技術を活用することで、点検のための付帯作業を圧縮できる。夜間作業が中心となる鉄道保守の現場では、この時間短縮の意味も大きい。
情報共有の面でも効果は大きい。3Dデータとして可視化されることで、現場担当者だけでなく、電気や建築などの関連部署とも状況を共有しやすくなった。これにより、変状の確認から対応方針の検討までをスムーズにつなげやすくなる。結果として、部署をまたぐ意思決定のスピード向上にも寄与する。
今後は、列車走行中の高架橋のたわみ量測定など、より高度な活用も視野に入れている。打音検査や雨漏り原因の特定、応急処置への応用といった展開も見込まれており、現場での活用範囲はさらに広がる可能性がある。