JR西日本カスタマーリレーションズは、電話の応対履歴作成業務にELYZAの生成AIを活用し、運用整備とモデル改善を通じて業務効率化を推進している。3月31日、大規模言語モデル(LLM)の社会実装を進めるELYZAが発表した。100名規模の実業務で生成AIによる要約を定着させ、平均後処理時間(ACW)を約50%削減することに成功した。
JR西日本カスタマーリレーションズは、JR西日本お客様センターを運営しており、2022年からELYZAと共同で生成AIを活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)プロジェクトを実施してきた。2023年からは、電話やメールの問い合わせに関する全ての応対履歴を生成AIで要約・テキスト化する業務を導入している。
今回の成果は、問い合わせの中でも「ご意見・ご要望」に分類される、複雑性が高く要約の難易度が高い領域で得られたものだ。この領域では、サービスへの意見や改善要望、過去の経緯説明などが一連の会話の中に連続して現れるため、要約すべき情報が多岐にわたる特徴がある。従来は、担当者ごとに情報の抜け漏れや記載の粒度が異なりやすいという課題を抱えていた。
2023年8月の導入当初、月次の平均後処理時間は12分47秒だったが、両社による継続的な改善の結果、2025年12月には6分23秒まで短縮された。2025年11月から2026年1月までの3カ月平均でも同様の数値を維持しており、安定運用を実現している。実証実験段階での削減率は約21%だったが、100名規模の組織的な実業務への適用により効率化を達成した。
時間削減を実現した要因として、JR西日本カスタマーリレーションズによる運用ルールの整備と、ELYZAによるAIモデルの更新が挙げられる。JR西日本カスタマーリレーションズは、AIが処理しやすい発話や復唱をオペレーターに指導するトレーニングを実施。さらに、要約内容の事実確認をオペレーターが行い、チェック業務をスーパーバイザーが担うという役割分担を徹底した。加えて、要約ルールブックの整備や定期的な研修も継続して行っている。
ELYザは、3度にわたる生成AIモデルの更新により要約精度を向上させたほか、表記ルールの追加や修正を実施した。特に、スーパーバイザーのチェック要件に基づき、網羅的かつ適切な粒度で要約結果を出力できるよう改修したことで、チェック側の負荷軽減にもつなげている。
JR西日本カスタマーリレーションズ取締役第1オペレーション事業部長の岩﨑隆利氏は、コンタクトセンターにおいて応対内容を正確に把握し、重要点をまとめるスキルは不可欠だが、オペレーターには大きな負担だったと指摘する。ELYZAの技術活用により、必要な情報を網羅しつつ効率化を実現できたとし、要約の品質均一化によってお客様の声(VoC)をサービス改善に活かせる可能性が広がったと述べている。