焼津市が、サイボウズの「kintone」を導入し、全庁的な業務改善を推進している。1月15日、M-SOLUTIONSが発表した。
静岡県焼津市では、長年ExcelやAccessを活用した業務運営を行ってきたが、ファイル管理の煩雑さや、担当者の異動に伴うマクロ修正の困難さなど、さまざまな課題を抱えていた。これらの問題を解決するため、焼津市はDX推進課を中心に、ノーコード開発ツールであるkintoneの導入を検討した。
焼津市でkintoneを検討したのは、「自治体まるごとDXボックス」という無料トライアル制度があり、全職員がツールを試用できるだけでなく、パートナー企業による導入・運用支援も受けられたことが挙げられる。また、操作の簡便さと自治体での豊富な導入実績も評価した。パートナー企業には、公募によりM-SOLUTIONSを選定した。M-SOLUTIONSは、「5つの業務システムの作成をサポート」する支援メニューを提供しており、効果検証に十分な支援を受けられると判断した。
2023年8月から始まったトライアルでは、M-SOLUTIONSと各部署が密接に連携し、業務内容のヒアリングからシステム作成、改善までを段階的に進めた。このトライアルが専門家からシステム開発のノウハウを学ぶ貴重な機会となり、当初予定の5業務以外にも自主的な改善の動きが広がり、最終的に93のアプリケーションが試作された。
2024年5月からの本格導入では、広報紙・LINE配信の制作管理システム、福祉イベントへの参加事業者と情報を共有する「掲示板システム」、そして事業者の支払い明細をオンライン上で閲覧可能にする「市支払い明細履歴照会システム」に期待が寄せられている。
kintoneを活用した業務の見直しで、作業時間を90%以上削減できたものもある。たとえば、広報紙の制作やLINE配信業務では、これまで各課からの依頼や原稿のやり取りが個別のメールで行われ、画像のアップロードも別の場所で行っていたため、作業が煩雑で進行管理も困難だった。kintoneによるシステム化で、配信依頼から原稿管理、進行確認までの一元化が実現し、担当者間のコミュニケーションが円滑になり、kintoneだけで業務が完結できるようになる。
焼津市役所行政経営部DX推進課の担当者は、「5つの業務支援と約10カ月のサポートを通じ、全庁導入の基盤が整ったと感じている。今後もkintoneの可能性を広げ、業務改善と行政サービス向上を実現していきたい」とコメントしている。