所沢市は、全職員が利用する全庁ネットワークと統合仮想基盤を刷新し、1月から稼働させている。10月29日、設計・構築を担当したネットワンシステムズが発表した。本庁舎のネットワークを無線LANに切り替えて職員の利便性を高めたほか、統合仮想基盤を外部データセンターへ移し、災害時の業務継続性を強化した。ネットワークの可観測性(オブザーバビリティ)技術も取り入れ、運用の高度化を図る。
所沢市は、ガバメントクラウドの利用をはじめ、情報システム基盤のクラウド移行を構想している。安全・安心な行政サービスを維持・向上させるため、AIやデジタル技術を活用した多様な働き方への対応、災害時の業務継続性の向上、IT環境を継続的に改善するための運用の高度化を目的に、全庁ネットワークと統合仮想基盤の抜本的な見直しを検討していたという。ネットワンシステムズはグランドデザインの段階から支援し、設計・構築・保守・運用を担っている。
新環境では、職員が本庁舎でLGWAN接続系として使うネットワークを有線LANから無線LANに切り替え、職員間のコミュニケーションの円滑化やペーパーレス会議の利便性向上を図った。不正な接続端末やアクセスポイントを自動で検出・遮断する機能も備える。また、AIが端末ごとの通信状況を把握し、電波干渉の少ないチャネルへの変更や電波出力の調整を自動で行う。特定の会議室で通信効率が落ちているといった課題もAIが見つけ出し、対応の優先順位や推奨される対処策とあわせて通知する。
統合仮想基盤は、設置場所を庁内のサーバールームから外部データセンターへ移した。有事にはバックアップデータからシステムを起動でき、物理サーバーに障害が起きた場合はオートヒーリング機能で自動的に復旧する。構成も、サーバー、ネットワーク、ストレージを個別に導入する3Tier構成からハイパーコンバージド製品に切り替えた。CPUやメモリ、仮想マシン、バックアップ、ファイルサーバーなどの構成要素を一元管理できるようにし、性能が低下した際は、各要素の稼働状況とアラートを相関分析して原因を速やかに特定できる。情報システムを将来クラウドへ移行する際にも対応しやすくなるという。
オブザーバビリティ技術では、いつ、誰が、どこで、どのアプリケーションやクラウドサービスを、どれだけの通信量で使ったかを把握できる。ガバメントクラウドなどへの通信が増えるなか、帯域制御で通信品質を維持し、ネットワークが逼迫した際は迅速に原因を分析して対処する。日々蓄積する利用データは、次期更新時のネットワーク構成の検討にも生かす。
ネットワンシステムズは今後、セキュリティポリシーの運用状況の評価やインシデント対応、ICT-BCPの改定・訓練、情報システム調達の妥当性検証なども支援する。
所沢市デジタル戦略課課長の堤氏は、「今回整備した全庁ネットワークと統合仮想基盤は、本市のICT環境の根幹となる重要なものだ。職員の働き方改革や業務効率の向上に加え、有事の際の業務継続性を大幅に強化できた。オブザーバビリティ技術も導入したことで、日々の環境改善に加え、将来のクラウド移行時も適切なネットワーク環境を整備できると考えている」とコメントしている。