山九は、アセンドの運送事業者向け基幹システム「ロジックス」を採用した。10月28日、アセンドが発表した。パイロット6拠点で約1年半にわたる検証を経て、現在はグループの全国約33拠点への展開を進めている。案件ごとの収支を把握する輸送データ基盤としてロジックスを位置付け、拠点をまたいだ広域配車などを通じて物流事業の利益率向上を目指す。
山九はグループ会社を含めて全国有数の輸送力を持つ東証プライム上場企業。元請けとして輸送を受託する山九に対し、実際の運送は、地域別に展開する運送子会社のサンキュウ・トランスポート各社が担う体制をとっている。
同社には、約40年前にサンキュウ・トランスポート各社を設立した当時から輸送業務の管理をシステム化する構想があったが、実現には至っていなかった。配車はホワイトボードで組み、実績はExcelで管理するなど、運行や請求の管理は拠点ごとに異なるアナログな方法に頼っていた。こうした中、物流事業の収益性向上が経営課題となり、同社グループはエリア単位の輸送から全国規模の輸送ネットワーク強化へと方針を転換した。収益性を判断するには、元請けの山九と実運送のサンキュウ・トランスポートを一体で見て利益が出ているかを、定量的かつリアルタイムに把握できるデータ基盤が必要になる。加えて、トラック運送業界では適正原価の制度化など運賃・取引の適正化に向けた制度変更が進んでおり、案件単位で収支を把握する仕組みが求められていた。
そこで山九は約3カ月をかけて十数社のシステムを比較検討した。受注から請求までの機能や費用など約35項目で採点し、管理会計システムとの連携、入力の簡便さ、協力会社との案件連携といった重要項目には重み付けをして評価した。その結果、標準機能で幅広い業務をカバーでき、営業所間で空車情報を共有して荷物を割り当てられる配車表の操作性や、案件単位で収益性を把握できる点、協力会社との案件連携などの拡張性が評価され、ロジックスが最高評価を得たという。
2024年12月に選定と経営承認を経て、鹿嶋(茨城県)と京都の2拠点で検証を開始。その後、サンキュウ・トランスポート各社から1拠点ずつを加えてパイロット拠点を6カ所に広げ、運用上の課題を洗い出した。現在は全拠点への展開の最終段階にある。
導入効果は2段階で創出する計画だ。第1段階では、請求システムへの二重入力や帳票作成のための多重入力をなくし、事務工数を削減する。同社は現場のタイムスタディで1件あたりの入力時間を実測して効果を試算し、この段階の効果だけで投資に見合うことを導入判断の条件とした。第2段階では、拠点をまたいだ配車で実車率を高めるとともに、グループ全体の輸送業務をロジックスに集約し、元請けから実運送までを通した利益を把握する。
山九物流事業本部陸運部企画推進グループのグループマネージャーを務める市川寛之氏は、「輸送全体を管理する仕組みを持つことは、当社にとって40年来の構想だった。適正原価制度をはじめ業界を取り巻く環境が大きく変わるなか、輸送に関わるデータを集約し、定量情報をもとに社内外と議論できる体制が欠かせない。1件の案件を登録するだけで売上と配車がつながり、粗利と原価まで元請けと実運送の双方で見える世界を、ぶれずに目指していく」と話している。